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優しさのゆくえ  作者: 藤乃 澄乃
序章 はじまりの予感
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電車

昨日の電話で、るぅちゃんが私の電話番号を教えたことがわかった。

 ん? 何か聞こえる……?


 布団から右手を出して、目覚まし時計のスヌーズボタンをポンと押す。あと5分、あと5分、あと……。と、そんなことを繰り返しているうちにもう20分も経っている。いよいよ起きなければ!


 私の家から大学までは、徒歩、電車の乗り換え、待ち時間を合せてザッと1時間30分。授業は9時からだけど、8時30分までには学校に入らなければならない。そう、我が女子大は厳しいのである。大学なのに制服があるし、パンストの色まで決められている。勿論ソックスをはく場合は白! 

 まあ、忙しい朝に服装選びで時間を費やすことはないけど……。


 大急ぎで身支度を整え家を出る。駅まで転がるように走っていつもの電車に飛び乗った。約10分で乗り換え。ここからは乗客も増え、駅員さんに背中を押してもらって、やっと電車に乗り込みドアが締まる。


「あ」

 ぎゅうぎゅうの電車内、人の波に押されてカバンが遠くに! 引っ張っても引っ張っても動かせない。このカバンだけは離すまい、としっかり握ってはいたものの、腕を伸ばしたままの状態で次の停車駅までの15分間耐えるのは、結構キツかった。


 やっとドアが開き手元に戻ってきたカバンを、今度はしっかりと胸に抱き、階段を上って降りてまた違うホームで乗り換える。ここからの10分間がまた大変。朝から人混みにもみくちゃにされながら、やっとの思いで大学のある最寄りの駅に着いた。


 改札を出たところで待ち合わせている友人と合流し、恋バナなんかに花を咲かせながらの徒歩20分。ようやく学校に到着した。クラスが違う友人とはここで別れ、自分の教室に入っていく。


 そう、これも是非声を大にして言いたい。1クラス60人程度で高校並みにクラスわけがされていて、席も出席番号順。誰が休んでいるかも一目瞭然。代返なんて以ての外。まあ、エスカレーター式に幼稚園から上がっている人は、みんなお嬢様なので大した苦にはなっていないみたいだけど、公立高校から来た身としては、入学当初は少し驚いた。しかし慣れとは恐ろしいもので、今ではこの環境が心地良く思えるときがある。


 自分の席にカバンを置いて辺りを見渡した。もう来てる?


 あ、るぅちゃんみっけ! 





次話は「教室」です。


よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 電車 まで読みました。 始まり方に驚きがあって良いと思いました。 まさかの個人情報流出(?)からの物語のスタート、わくわくしますね。 そして、ぽんぽんぽーーんと進んでゆくテンポのよさがきい…
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