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優しさのゆくえ  作者: 藤乃 澄乃
優しさのゆくえ 『それぞれの想い』
14/36

疑問の来襲

るうちゃんが言った言葉が気になって……。

 昨日の放課後るうちゃんに言われた言葉が、ずっと心にひっかかっている。

 今日、川崎さんと待ち合わせているが、いつものウキウキした感情はあまり湧かない。

 一体どうしちゃったんだろう。なんか、ヘン。自分でも気がつくくらい表情が堅い。るうちゃんのことも気になるし……。

 あんなこと聞きたくなかったな。聞きたくなかった。

 聞かなければよかった。……でも聞いてしまった。


 るうちゃんが川崎さんに接近しようとしていると、ともちゃんは言っていたけれどそれよりもむしろ、川崎さんと私が付き合っていると知って、るうちゃんはどんな気持ちだったのだろうか。そのことが気になる。私は大切な友達を失おうとしているのだろうか。




 いつものようにターミナルで待ち合わせ。今日は私の方が早く着いた。スマホ片手に画面を見つめているが、内容なんてちっとも頭に入ってこない。ただ手持ち無沙汰で、指をスライドさせているだけだ。


 10分程そうしていただろうか、川崎さんが申し訳なさそうにやって来た。といってもまだ待ち合わせの時間には5分あるのだけど。


「待たせてごめんね」

「ううん、私も今来たところ」

「そっか。じゃ、行こっか」

「うん」

 るうちゃんのことが気になって早く着きすぎたなんて、とても言えない。こわばった表情しかできないから、あまり川崎さんの方を見ないようにして歩いた。

 川崎さんはいつもと変わらない様子で、相変わらず優しい。


 少し歩いて、どこか行きたいところはないかと聞いてくれる。私は特にないと答えるけど。

 

 どこに行くかってことよりも、誰と行くかってことの方が大事。だからどこでもいいの。


「どこ行こっか」

「どこでもいいよ」

「そっか」

 3才年上の彼。行き先くらい決めてほしい。でもいつも聞いてくれる。優しいから私を優先してくれているのだ。

 

 少し歩いてお腹もすいてきた。


「ちょっとお腹すいたね」

「そうだな、じゃあお昼にしよっか」

「うん」

「なにか食べたいものある?」

「特にない」

「行きたいお店は?」

「別に」


 そんな会話の繰り返し。3才年上の彼。お店くらい決めてほしい。

 大事なのは、どこに行くかじゃなくて、誰と行くかなんだから。


 でもいつも聞いてくれる。優しいから私を優先してくれているのだ。

「なにが食べたい?」

「なんでもいい」

「どこ行く?」

「どこでも」


 これって本当に優しいのだろうか。



お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします。

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