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優しさのゆくえ  作者: 藤乃 澄乃
優しさの鼓動
10/36

最寄りの駅まで

川崎さんとは今後どうなっていくのかな。

 月曜日のお昼休み、教室でお弁当を食べた後なんとなく席にかえりぼんやりしていると、ともちゃんがやって来てすぐ前の席に座った。そのまま振り返り両手でバンと机をたたき、ちょっと恐い顔で睨んでいる。

「な、なに?」

 びっくりして聞き返した私。

 すると急に表情を変え、にやにやしながら私に聞く。


「それで?」

「ん?」

「どうなった?」

「どうって何が」

 益々にやけ顔のともちゃん。

「か・わ・さ・きさんとのその後」

「普通に友達だけど」

「ふうん、友達にもいろいろあるよね。ちゃんと話聞くまでは離さないよ~」


 こうなったらともちゃんは無敵だ。相手から自分の聞きたい情報を聞きだすまではテコでも動かない。

 根掘り葉掘り聞かれて、言いたくはなかったけど一通り説明した。



「……っていうことなの」

「ふーん」

 相変わらずにやけている友人に困ってしまう。ちょっと恥ずかしいような、ほんのちょっと嬉しいような……ああ、でもやっぱり恥ずかしい。

「ふ~ん、そうなんだぁ」

「ああ、イヤだそのにやけた顔!」

「ふふふ、だってこの間の合コンでうまくいきそうなのは、桜花さくらだけなんだよ」

「そうなの? あ、でも私はまだ解らないけどね」

「ん? 何か気になることでもあった?」

「うーん、そういうわけじゃないんだけどね」

「じゃあ何?」

「まだ友達だから」

「相変わらずお堅いこと(笑)」






 それからも川崎さんとは何度も食事に出かけたり、映画を観に行ったり……友達以上の関係になりつつある。いや、厳密に言えばもう付き合っている。といってもまだ手を繋いで歩く程度の仲だけど。

 でも、ひとつ大きく変わったことがある。前は出かけた後はあの大きなターミナルで別れていたけれど、今はそこから電車に乗って私の最寄りの駅まで送ってくれている。……少しでも長く一緒にいたいからだって。


 ふふふ、嬉しいけどまだ家まではダメって言っている。

 私の最寄りの駅はターミナルからある線に乗って20分、乗り換えて10分のところ。ラッシュ時以外は待ち時間を入れてターミナルから45分くらいはかかる。最寄り駅は終点なので、折り返しの時間まではホームで過ごす。ベンチに座り少し寒い中でも2人でいると暖かい。いや、温かい。


 そんな時間はすぐに過ぎて、発車のベルが鳴る。

出て行く電車を見送るのは、何とも言えない淋しさがあるが、次のデートの約束をして、今日も見えなくなるまで電車を見送った。



お読み下さりありがとうございました。


次話もよろしくお願いします。

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