電話
ある日突然かかってきた電話。恐る恐るでてみると……。
スマホから聞こえる着信音。誰だろう。知らない番号だ。無視するべきか、それとも出てみようか。考えているうちに切れてしまう。どうしよう。
短い時間に色々考えて、相手の声が聞こえるまで、言葉は発さずに出てみることにした。
「……」
『あ、もしもし』
「……」
『山口さんですか?』
「……」
どうして私の名前を知っているのかな。ちょっと怪しい。
『僕、先日の合コンでお会いした川崎です。覚えてますか?』
「え、ああ川崎さん。ってかどうして私の電話番号知ってるんですか!?」
『僕達の幹事を通じて、女子の方の幹事さんに聞いてもらったんです』
「はぁ」
え、るぅちゃん勝手に人の電話番号教えるなんて! 明日大学に行ったら文句言ってやろう。
『あ、あの、この間はお疲れ様でした。とても楽しかったです』
「あ、お疲れ様でした」
『それで、連絡事項があって、先日の女子の皆さんに伝えていただきたいのですが』
「何でしょう?」
『今度の日曜日に僕達の大学で大学祭があるのですが、皆さんにも是非来ていただきたいと思いまして』
「え、あ、でも」
『伝えていただけますか?』
「そういうことは幹事どうしでする話じゃないんですか? どうして私に?」
そうよ、幹事を飛び越えていきなり電話してくるなんて!
『先日お話しして、すごく気が合うなと思ったんです』
「はぁ」
『ハッキリ言って口実です』
「え?」
『山口さんともっとお話がしたかったので、幹事に電話番号を聞いてもらうように頼みました。それで、僕が山口さんに大学祭の連絡をすることになって』
まあ、内心私も気が合うとは思ったけど、いくら”友達の友達の友達”っていっても、知らない人にはかわりないからなぁ。
『お願いします。皆さんで大学祭に来てもらえるように調整してくれませんか?』
「うーん」
『みんな楽しみにしてるんです』
「はぁ……」
うわぁ、どうしよう。
『僕は誰にでもこんな電話はしません。どうしても山口さんともう一度お話がしたかったんです』
「はい、今お電話でお話しています」
『あ、そうですけど、ダメですか? 大学祭、来てもらえませんか? お願いします!』
うーん、そうだな、この間話した感じでは趣味も合うし、いい人そうだったし、こんなに一生懸命言ってるし……。 まあ、”友達の友達の友達”だし、全然知らない人でもないしな。
「あ、じゃあ、はい」
『ホントですか!? ありがとうございます』
「私も、誰にでも言うわけじゃないですよ」
それから私達は約30分間、話題も尽きることなく話し続けた。先日の合コンの時のように。
私にしては珍しく大胆な行動。川崎さんは私よりも3才年上、ちょうどいい年齢差だな。5つも離れると、もうオジサンにしか思えない。でも油断は禁物。どういう人かじっくり見極めなければ。
お読み下さりありがとうございました。
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