せい夜祭①
「皆さーん、クリスマス特別クエストが来ましたよー!」
いつものギルド職員が声高らかに冒険者たちに告げる。それを聞いた彼らは――――
「うぉぉぉ、来たぜぇ!年末までに稼がねえとな!」
「このクリスマスは俺たちが守るぜぇ!」
「ぶっ殺してやんよサンタクロースどもォォ!」
口々に叫びながらカウンターへクエストを受けに行く。
…いや、どういうことっすかこれ。
「…ねぇアキヨシさん、ちょっとこのクエストの意味が分からないんすけど」
俺は配られている特別クエストのビラをアキヨシさんに見せる。
「何って、そのまんまだよ」
「いや、”街中に潜むサンタクロースの討伐”って…サンタクロースといえばクリスマスの夜暗闇に紛れてこっそり煙突の中とかから家に入って子供達にプレゼントを置いて帰る正体不明の老人のことじゃないっすか。何で殺さなきゃいけないんすか?」
「アンタ馬鹿なの!?それはサンタ=サンのことじゃないの!サンタクロースはクリスマス直前の浮かれた雰囲気の中人ごみに紛れて子供たちを斗泣・改へのプレゼントとして持って帰るキチガイよ」
「え?…え?サンタ=サンとサンタクロースって違うんすか?」
「サンタ=サンは子供たちの親で、サンタクロースはそれに化けた悪魔だ」
「やめて!?子供の夢をさらっと壊さないで!?」
「ちなみに斗泣・改は、サンタクロースたちを束ねる魔獣だ」
「…トナカイがサンタこき使ってるんすね…まあなんとなく分かりました。…でもどうするんです?そのサンタクロースが親とか一般人に化けてるなら退治するにも見分けがつかないんじゃ…」
「見分けェるのォは簡単だァよォ、尻に尻尾ォがあったらァ一般人でェなかったらァサンタクロースゥ」
「へぇ…え?尻尾があるほうが一般人なんすか?」
「そうだよォ見つけしだいぶっころしていいのォ」
「おいタオシー、お前逆だぞ」
「えェ」
「尻尾を隠せないのは悪魔よ?」
「ええェ」
…タオシーさん、危うく一般人を殺るとこでしたよ。
「よし、それじゃクエスト受けに行こうぜ。何しろ1体10万だしな!」
そう言ってアキヨシさんは、ごった返すカウンターの方へ向かった。
どうやらサンタクロース狩りが始まるらしい。




