44 同じ屋根の下の敵
ゾンビ討伐が終わり、久々に(とは言っても半日ぶりだが)オレは屋敷のベッドに横になった。
目を閉じ寝ようとするが、疲れているのに中々寝付けない。布団の中で悪戦苦闘していると
ガチャ
部屋の扉が開いた。オレはほぼ反射的に寝たふりをする。
「ふふっ、寝ているわ」
キセだった。まぁキセしかいないとは思っていたが。キセは忍び足でオレの傍まで近付き
「全く無防備なんだから♡ イタズラしちゃお」
オレの顔にキセの荒い息がかかる。顔を近付けているのか。
「ふふっ、もーら痛っ!」
キセの顔に頭突きを決める。
「キセこらっ!?オレのファーストキスを無許可で奪おうとすんなァァ!!」
怒鳴るオレにキセは首を傾げ
「何よ今更。ファーストキスはアキヨシが5歳のときに貰ったわよ?今回のキスが成功していれば132回目だったんだから。まあ全部アキヨシが寝ているときだけど」
当然のようにほざくキセ。マジかオレのファーストは5歳で奪われていたというのか。
「ところでアキヨシ、ゾンビのときに言ったよね?私がマジックバリアとアタックバリアでゾンビを防いだらバイアグラかけてやるって」
オレがバイアグラかけたいみたいになっているんですが。お前がかけてって言ったんだろうが…。
しかしまあ、ここでむざむざと童貞まで奪われるわけにはいかない。そこでオレは久しぶりにあの呪文を使うことにした。
「なぁキセ、バイアグラの前にハイセンスを掛けたらもっと良くなると思うんだが」
「ハイセンス?あぁ、アキヨシと隠れんぼしたときにアキヨシが使ってた、体のありとあらゆる感覚を鋭くするやつね。…確かに感度上がるわ♡」
顔を赤くしながらOKするキセ。…これだけ見れば美人なのにな。もったいない。
オレは呪文を唱える。
「ハイセンス」
「あぁん♡」
まだ何もしてねぇよ!?
オレは深呼吸をして
「キセ、いくぞ」
「はあっはあっ…早くぅ」
キセの頭を全力で殴った。
「あ…」
感覚が鋭くなるということは痛覚ももちろんそうだ。今の疲れているキセにはダメージが大き過ぎたようで、白目を剥いて気絶する。
そのキセを廊下に放り出す。
「鍵付けねぇと…」
オレはそう呟いた。




