お金の話~創作物における通貨と設定~
物を売買するにはお金が必要ですから、創作物においても貨幣が存在します。
貨幣にもいろいろな形態が存在し、その使われ方で物語の世界観を大きく決定づける要因になります。
まずは、現実でも使われている紙幣についてお話ししましょう。
明治元年1868年に初めて紙幣が発行され、
明治17年1884年に兌換銀行券条例が交付されました。
これにより、紙幣が使われ始めたのですが、この時の兌換紙幣は、日本政府が保有している金と交換できる紙幣であるため、交換できる金の価格によって価値を保証すると言うものです。
昭和6年1931年に紙幣と金貨の交換を停止し、
昭和17年1942年の日本銀行法により不換紙幣、信用貨幣へと移行する事になります。
発行する国家の信用によって、価値が保証される紙幣となります。
このために、信用貨幣を使用するならば、安定した国家体制が必要であり、流通は自国内に限られるでしょう。隣りの国では使えないという事ですね。
兌換紙幣ならば、使えない事も無いですが、金の国外への流出等の問題もあり、そもそも、保有している金以上には発行できないため、人口が増えれば、通過としての機能を失う事になります。
携帯に便利な紙幣ですが、通貨として使用するならば、安定した政治体制や、共通の文字などが必要になり、複数の人外の種族や国が登場する物語では、使いにくい貨幣となるのです。
ならば、金貨ならどうでしょうか?
金それ自体に価値があるので、その表面にどんな模様が刻まれていても、同じ価値になります。
共通の言語や、国家の保証もいりません。
少しはあるのですが、この際省いても問題ないでしょう。
これならば、人外の種族や国が滅んでも商売できますし、新たな国が登場しても問題ありませんが、価値を保証される金が問題となって来るのです。
恒星内部の核融合で鉄くらいまでなら出来るのですが、金となると、超新星爆発のエネルギーが無ければ生まれませんので、生物がすむ惑星にはわずかしか含まれていないのです。
それを通過として利用するには、多くの穴を掘り、金を集めなくてはいけません。
総人口の数パーセントの人間が、多くの人間を支配して金を集め、支配階級だけで金貨を使用した経済体制を構築する事になります。
簡単に言えば、多くの奴隷がいる世界という事になりますね。
そんな世界で、みんな平等だ! みんなで幸せに! などと叫んだところで、大多数の奴隷は含まれていない随分とおかしな発言ではありますが。
しかし、ゲームの世界ではよく金貨が使われております。
金ですので、モンスターが使用しても同じ価値ではありますが、人間はどうやって、金貨に必要なだけの金を手に入れたのでしょう?
皆さんご存知の国民的ロールプレイングゲーム、ド○○〇では、モンスターを使役できるので、モンスターを使って掘らせれば簡単に集められたのでしょう。
強い魔物は一般人には手に負えないですが、弱い魔物やそれ以下の非戦闘系の魔物(時々物語に出て来て人間に捕まっていたりしますし、そう言うものもいるのでしょう)、を利用すれば、奴隷制がなくとも金を集められ、強い魔物を使役できる戦闘能力の高い職業が、優位に扱われることも頷けます。
奴隷化された魔物を解放するために戦う魔王が、善か悪かは、この際、置いておきましょう。
もう一つの国民的ロールプレイングゲーム、F〇では、運搬用にはダチョウっぽい生き物がいますし、複雑な作業には、言葉を理解して商売も出来るほど高度な知能を持ちながら、捕まって売り飛ばされたり、はく製にされても、人間と友好関係を持ち続ける奇特な種族もいますので、かなりの労働力を確保できるのでしょう。まれに反抗しますが、ごく少数のグループだけにとどまります。しかし、少数でも異常なまでの戦闘力を持っているため、人間に隷属しているのは、やはり奇特としか言いようがないのですが。
なるほど、よく考えられていますね。
もっと簡単に、金がたくさん取れる大きな惑星や、金自体がたくさん含まれている事にすれば、よいのでは? と、考えそうな物ですが、それが、そうもいかないのです。
惑星の大きさを大きくしたりすれば、その星の住人が、果たして人間が美人だと思う姿に進化するでしょうかという、根本的な問題にぶつかりますし、重力が大きい星で生きていくのは辛いでしょう。それに、単に金が多く含まれているという設定ならば、金の価値自体に変化が出てしまい、ただの石ころと同じものになってしまいますね。
無論、魔法や錬金術で解決! などは、論外であります。
私の作品の「砂の国の『魔法』少女」では、多くの国が登場し、内乱と戦争を繰り返し、未成年が国のトップに立つ政治体制ですが、信用貨幣が使用されています。