表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

『誰かが私を呼んでいる。』

作者: 詩織



眩しさの中に



大きく葉を広げ、緑のオアシスを



求めている盛夏です。











街をすっぽりと包んだ

灰色の雲が、

まるで大きな塊のように

動こうとしない。



闇を追いやり

空がぱっと明るくなる日は

指で数えるほど。



それでも、

じめっと肌に纏わりつくような

嫌な湿気は

いまが夏だということを

からだに刻み込む。




無言で自然の恵みを受ける

大地のように、

生ぬるい空気に身を晒し

おどけて笑うピエロのように

夜がいつもその出番を待っている。



電子の川を流れる燈籠流しょうろうながしが

一つ、二つ、三つ、四つと火を灯す。

刺すような冷たい冬に

ひっそりと顔を出す白い花。




大地をすり抜けて、

やってくる春一番。

その生まれたばかりの春が、

ウインドーに額を押しつけ見つめる

ギャラリーに微笑む。




甘酸っぱい香りとともに

色とりどりに飾り付けられた

花たちが美しいリボンをかけられ

電子の海をおよぎだす。




白、紫、桃色の光の下で

風と遊ぶ葉の輝きを

悪戯に手折ることなかれ。



外界では___


自然が息を吹き返す時を、


沈黙の中で待っている。


挿絵(By みてみん)

雪を割って咲くスノードロップ






迷うことができるのも



一つの恵み。




[置かれた場所で咲きなさい]

渡辺和子著

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点]  春一番。  こちらではもうありました。  花粉症の人は大変だろうな。  思うのはそんなことぐらいですが……。  本編。  感性あふれる詩ですね。  感受性の強い人はあらわす感性もある。…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ