思わぬ再会
レーミアを宿へと送り届けた後、リックは教会へ行くためリムルカ横町を歩いていた。
赤い夕陽が街を染め上げ、陽気な声が響きわたっていた。自分達の店を閉めた労働者達が一日の締めくくりと言わんばかりに酒場へと繰り出している。
リックはそんな喧騒の中、教会への道筋を思い出しながら歩いていた。
今日の礼拝の時にフィーナを見た人がいないか、神父様が聞いてくれているはずだ。日が暮れるころに礼拝は終わるはずなので、そろそろ向かっても構わないだろう。
もう酒でできあがっている人々にぶつからないように気を付けながら横町を歩いていく。
が、不意に道の先、小さな男の子がじっと自分を見ていることに気がついた。何の感情もこもっていない無機質な瞳を向ける少年。
(確か、あの子って……)
記憶に間違いが無ければ、昨日、教会の庭で遊んでいた子供達の中にいた子だ。
迷ったんだろうか?何となく気になったリックは少年へと駆け寄っていく。
「ど、どうしたの?迷ったのかな?」
「…………」
声を掛けても返事は無い。ただじっとガラスのような目をリックに向けている。
「えっと……俺の事を覚えているかな?ほら昨日、神父様と一緒だったんだけど……」
反応なし。ひょっとして忘れているのだろうか?
てっきり自分を見ているのは、神父様の知り合いだと分かり助けを求めているのかと思ったのだが……違うのか?
どうも無反応な少年に頭を悩ませていると不意に小さな手をリックへと伸ばした。
「…………こっち」
ズボンの布を引っ張りどこかへ連れて行こうとしている。
「えっと……教会に連れて行ってくれるのな?」
「……違う、こっち」
戸惑いながらもリックは少年の後へと付いていく。大通りを離れ、魔石灯の光が届かない建物の隙間を抜け、やがてたどり着いたのはうす暗い路地の一角。
そこで少年は立ち止まり、先の曲がり角を指さした。
「……あっち行って」
「……あの先に何かあるのかな?」
「…………」
駄目だ、少年が何を伝えたいのか、どこへ連れて行きたいのかまるで分からない。
取りあえず行ってみるかと考え饐えた匂いの漂う道を進み、曲がり角へと差し掛かる。
うす暗い狭い道の果て、リックの目に飛び込んできた光景は、どこかで見たことのある鮮烈すぎる赤色だった。
「……え?」
呆然とした面持ちで目の前に広がる光景をただ見ていた。
路地裏に広がっていたのは凄惨な殺人現場。
数日前、この街に来たばかりの時に見てしまったモノと酷く酷似していた。
バラバラにされた人の部位が断面から血液を吹き出しながら汚い地面に散らばっている。
二回目だというのにその衝撃ときたら前回とまったく同じだった。息切れが激しくなり、呼吸すら困難となってしまう。顔を伏せ、リックは混乱する頭で思考を回転させた。
覚悟を決め、薄暗い道の先に視線を送る。
哀れな犠牲者の服はびりびりに破かれ、背中にはあの目のような紋様が刻まれていた。
まだ殺されてそんなに時間が経っていないのだろう、血が滴り落ちている。
(これは……死紋っていったよな)
黒の教団の紋様。狂信者によって彫られたものだ。
これが連続殺人の九件目であることに間違いは無いだろう。八件目に続き、またこのリムルカ横町で事件が起こるなんて。
その場に留まり、ただ必死に嘔吐感を抑えつけていると、ジャリと誰かが近くを歩いてくる音が響いた。
犯人かッ!?
まだ近くにいたのかと反射的に剣を構えると姿を現したのは酒で顔を赤くした壮年の男性。
「ったく、あのガキめッ、こんな場所に人を連れてくるなんて一体どういう……え?」
ばっちりと目が合ってしまったリックと男性。
男の視線がゆっくりとリックの背後にある遺体へと向かい、瞬間、これでもかというほど目が見開かれた。
「ひ、ひいいいッ!こ、殺しだッ!人殺しだッ!?」
酔いが一瞬で冷めた男性が子供のような悲鳴を轟かせながら、慌てて逃げ去っていく。
男の奇行にポカンと呆けるリックだったがすぐに気付く。
背後にある死体、そして剣を構える自分。この構図は最悪だ。場を見た誰もがリックを犯人だと思うに違いない。
(な、なんてタイミングの悪いッ……!)
早く逃げなければ!血の気がさぁっと一気に引き、リックはその場を離れようとした。飛び出した先は大通り。
「こ、こっちだッ!あそこに連続殺人鬼がいるッ!」
通りの真ん中、周囲の人々の視線をかき集めながら男が叫んでいた。
指差す先に居るのはリック。通りにいた全ての人の視線が己に集中する。
「キャアアアアアアアアッ!」
「あ、あいつだ!あいつが商人殺しの犯人だぁッ!」
一斉に響きわたったのは大勢の人々の悲鳴。そしてすぐに武器を手に持ち殺気だった冒険者達が路地裏へと殺到した。
「いたぞッ!あいつだッ!」
五人ほどの男が迫ってくるのを見たリックはすぐに反対側へと駆けだした。何て最悪なタイミングで死体を発見しちまったんだッ!
猛烈な後悔の念と共に、自分の不幸を呪いながら追いかけてくる冒険者達から距離をとった。
「クッソッ!こんなことってあるかよ……!」
違う、俺は犯人ではないと叫びたかったが、無意味であるぐらいは分かる。
いくら訴えかけても、今の冒険者たちは聞き耳を持ちはしないだろう。逃げることが最善だ。そう判断したリックはひたすら足を動かすが……
「み、見つけたッ!こっちにいるぞ!」
進む先、鎧を身に付けた自警団が数人、槍を突き出しながら向かってきた。
通報があったから駆けつけてきたにしては早すぎる、おそらくはこの辺りの警邏を行っていた者たちだろう。
前方には使命に燃えた自警団、そして後方には金に目のくらんだ冒険者。
逃げ場はない、とっさにそう判断したリックは背中の剣を抜き、足を止めることなく姿勢を低くして自警団の方向へと向かっていった。
逃げられないのなら強引に突破するほかない。
突き出された槍を避け柄の部分を切断。
一気に間合いを詰めると足腰を踏ん張り自警団の固まりへとタックルをぶつけた。鋼鉄の鎧へと体を激突させたため、節々が痛んだが何とか突破することに成功した。
大通りへと飛び出したリックだったが、まだ危機は去っていない。
「はっは!いたぜ、賞金首だ!」
「誰にも横取りされるなよッ!賞金は俺達で総取りするぞ」
すでに噂を嗅ぎつけたのか、金に飢えた冒険者達で溢れていた。そして、もうまもなく自警団の大群もここに押し寄せてくるだろう。
「くっそ!最悪だッ!」
敵がこれほどまでに溢れた大通りを進むことは出来ない。複雑に入り組んだ路地裏へと逃げ込んだ。
狭くとても戦いやすい環境とはいえないが、こいつらを撒くにはここに入っていくしかない。
怒号が背後から届くが決して振り向くことはしない。
散らばるゴミを蹴っとばし、驚いた猫に威嚇されようとも構うことは無しだ。捕まったら絶対に殺される、かつてないほどの焦燥感に駆られリックはリムルカ横町を疾走した。
(何でこんなことになってしまうだッ!)
絶望的な状況に視界が涙で滲んでくる。
死体を発見したことも不幸なら、その場面を人に見られ犯人扱いされることもまた不幸。まるで呪われているとしか思えぬタイミングだ。
あの子供のせいか……!
苦々しげに呟くリックだったが、おそらく遺体らしきものを発見したあの少年が人を呼んだだけという流れだろう。さすがに責めることは出来なかった。
「はッ、死ねやッ!殺人鬼がぁッ!?」
不意に上空から殺意に満ちた声が振ってくる。反射的に前へ飛ぶリックだったが、丁度、元いた場所を銀閃が通過する。
がりがりに痩せたカマキリのような男がリックへと襲いかかってきたのだ。両手にある二本のナイフを器用に回しながら、舌なめずりをしている。
こいつも金目当ての冒険者か。
「避けてんじゃねぇよッ!こらぁッ!」
二本のナイフで円を描くように旋回させ、襲いかかってくる。右から来たナイフを剣で防ぎ、左からの凶器は突き刺さる寸前で、男の腕を掴み、対処する。驚く冒険者の顎に蹴りを放ち、昏倒させた。
紙一重の攻防だったが立ち止まった瞬間、冒険者や自警団が殺到してくるのだから、速攻で無力化するしかない。
男が崩れ落ちるのを見届けることなく、再び駆けだした。
背後から迫る者がいないのを確認した後で、リックは一度立ち止まり息を整えることにした。
「はぁ、はぁ、はぁ……くそッ!」
いくら呼吸を繰り返しても爆発するように鼓動を繰り返す心臓が治まることは無い。
身を隠しながら慎重に大通りを覗くとそこには数十もの完全装備をした自警団が道を封鎖していた。
蟻一匹通さぬという包囲網が出来あがっており、逃げ道は塞がれていた。
その上、冒険者達も相当数辺りをうろついているようであり……
「あいつ!どこへ行った!?」
「さぁな!少なくともこっちにはいないぞ」
荒々しく叫ぶ男達の声が近づいてきて、リックは近くのゴミ箱へと慌てて身を隠す。
このままでは見つかるのは時間の問題だ。
どこかの民家にでも突っ込むか、いや、建物なんかに入ってしまったらそれこそ逃げ場がないではないか。
強引に突破するのもあまりに分が悪すぎる。
「……マジかよ、こんなところで!」
諦めの感情が心の内を満たしてく。
まさか、こんな形で捕まってしまうなんて……!思えばひたすら不運だったな、と己の境遇を憐れんでいた。
夢の異世界生活だというのに良いことなんて何一つ無かった。
身に覚えのない殺人容疑を掛けられ、追い回され、そして今も汚い路地を駆け回っているという有り様だ。
かといって大人しく死んでやる気はさらさらなく、一か八か突破を試みようとしたところで……
「こっんの馬鹿!何でまだこの都市にいるのよ!」
不意に聞き覚えのある声が耳朶へと叩きこまれた。
「…………え?」
初めは幻聴かと思った。弱い心が現実から目を逸らすために創り出した自分にだけ届く声だと。
だが、振り向くとそこには汚い路地にはとても似合わない、輝く金の髪をなびかせた美少女、フィーナがいた。
宝石のような二つの瞳に射抜かれてリックは自分の置かれている立場を忘れた。
信じられない、探し求めた少女が今、自分の目の前にいるなんて。
「……フィーナさん?……ど、どうしてここに?」
「そ・れ・は!こっちのセリフよ!」
「いってぇッ!?」
足を思いっきり踏まれてリックは跳び上がった。
「ちょっと大きい声出さないでよッ!」
「す、すいません……」
足を踏みつけておいてこの言い様は無いだろう、と思ったが勢いに押されてか恐る恐る頷いていた。フィーナの瞳の中にあったのは怒りの炎。
「でも、フィーナさん、一体どうしてこんなところに?」
「決まってるでしょ!これだけの騒ぎよ!駆けつけないわけ無いでしょ!街中の自警団や冒険者達がここに殺到しているんだからね!」
それもそうだ。我ながら間抜けな質問だ。フィーナは連続殺人の真犯人を追っている。
ならばここに来るのも、リックを見つけるのも必然だ。
「ようやく犯人らしき人影を見つけたらリックで、しかも冒険者達も自警団も皆、貴方を追ってるみたいじゃない!これは一体、どういうこと!」
「実はその……偶然、九件目の死体を俺が一番最初に発見してしまって……しかも、その場面を人に見られたんですよ……それで騒ぎになって、今に至ると」
「あ、呆れた……あなたってどれだけ運が悪いのよ……!最悪な状況じゃない」
彼女が驚くのも無理は無い。自分でも信じられないほどなのだから。
「こんな状況では言い逃れはできないわね……貴方の容姿は完璧に冒険者にばれてしまっているわ。今までは手配書があんなのだったからギリギリ誤魔化せたけど……ヤバッ!こっちッ!」
腕を激しく引かれ、家の隙間へと押し込められた。瞬間、脇の道を荒々しく自警団の数人が通過していく。
どうやら逃がすつもりは無いらしい。包囲網は徐々に縮まっている。
「行ったわね……取りあえず話は後よ。付いてきて、ここから離れないと見つかるわ」
キョロキョロと周りを見渡しながらフィーナは先導していく。彼女は気配でも感じとれることが出来るのだろう、的確に指示を出しながら追う自警団達を避けていく。
彼女の背中に付いていきながら複雑な感情をリックは抱えていた。
助かったという安堵感もあったが、それ以上に自分のことが情けなくてたまらなかった。
彼女の助けになれるように頑張ろうと決めたのに、結局、この構図は数日前と何も変わらないではないか。
いやそれどころか、悪化しているのかもしれない。
(結局、また助けられただけじゃないか……)
何も変わってない、相変わらず役立たずで足を引っ張るだけだ。
「で、この都市にまだいる理由は?私は魔石の換金を受けたらグリア―ドを離れろと言ったはずよ」
先を慎重に伺いながら、フィーナはジトっとした視線を向けてきた。
その責めるような目に怯むリック。声が響かぬよう抑えながら、たどたどしく答えた。
「……すいません、逃げなければならないって分かってたんですけど……どうしてもあと一回だけ、フィーナさんに会いたかったんです」
「……へ?」
闇夜でもくっきりと分かるほどフィーナの頬が朱に染まる。
「迷惑に思うかもしれないけど、あんな形で別れるのはどうしても嫌で……それに、恩返しとかじゃなくて単純に俺、フィーナさんの手助けをしたいって思って……」
再び助けてもらっておいて、手助けをしたいだと言うのは恥の上塗りに過ぎなかったが、零れおちる言葉を止めることは出来なかった。
酷く肩を落とし、少女の顔をまともに見ることができないまま先を続ける。
「それがこんな無様なことになるなんて……本当に何と言ったらいいか……すいません」
何を言われるだろうか?罵声の嵐を覚悟したリックだったが、耳に届いたのは呆れるような溜息の音だけ。
「はぁ~……まったく、そんなこと言われたら怒れないじゃない」
呆れたような、しかしどこか温かみを感じる言葉だった。
「取りあえず、また六脚亭に行って匿ってもらいましょう。話はそれからよ」
「……はい」
歩き出したフィーナに続くリック。やがて、ぽつりと彼女は何事かを呟いた。
「……こんなことになってしまったけど、心配してくれたのは嬉しかったわ……そ、その、ありがとう」
「え?……は、はい」
少しだけ胸の内が軽くなったのを感じながら自警団に見つからないよう進んでいく。
道の先でばったりと冒険者とぶつかってしまうというアクシデントもあったがフィーナが一瞬で昏倒させたため事無きを得た。
フィーナの案内の元、着いたのはまたしても路地裏の奥。滅多に人が足を踏み入れることのない都市の外れであり、ここにも地下空洞に続く道があるという。
この通路は外へとも続いているが、都市の中を潜んで動くことも可能だという。
ゴミ箱をどけ、マンホールのような取っ手を外し、下に広がるはずの大空洞を覗く。
「……思うんですけど、フィーナさんってこんな隠れ家みたいな道どこで見つけてくるんですか?」
「タルブさんに聞いたのよ、あの人はこの都市に来てから長いからね」
頷きながら下へと続く階段を見下ろすリック。
相変わらず不気味だったが、ここにさえ入れば自警団も追ってはこないだろう。助かった……胸を撫で下ろしたその時。
「おや、リックさん……そんなところにいたのですか?」
自分の名前が背後で呼ばれ、肩が勢いよく跳ね上がった。ロボットのようにぎこちない動きで背後を振り向くと、そこには無条件に親しみを感じるような笑みを浮かべた一人の男がいた。
白を基調とした法衣に、首にはリックも受け取った銀のアクセサリーがある。昨日、出会った親切な神父様だ。
「教会で待っていたというのに、なかなか現れないから心配したんですよ」
一瞬、何を言われたのか本気で分からなかった。しかし、すぐに思い出す。
そういえば自分が教会へ向かう途中で騒動に巻き込まれたのだということに。
(こんな騒ぎですっかり忘れていたけど……)
いや、フィーナには結局、会えたのだからそんなことはもうどうでもいい。
大事なのは神父様がこのリムルカ横町で起きている騒ぎに気付いているかどうかだ。
昨日はリックが犯人ではないと信じてくれたようだが、さすがに今回は……。
もし表の騒動について気付いているのなら、追われているのはリックだとすぐに分かるだろう。
神父の顔には恐れも疑いも無い……ということは自分が追われていることは知らないのか?
ほっと安心するリック。だからこそ気付かなかった。
神父が何故こんな場所にいたのかも、そして隣のフィーナが殺気を放っていることにも。
未だに不気味な笑みを崩さない神父はゆっくりとリックの隣の人影へと視線を移す。
「おや、リックさん……そちらの方は?」
「あ、は、はい……その、昨日、俺が探しているって言っていた人で」
下手な挙動をしたら怪しまれる。なるべく平常心を保つよう心掛け、神父に近付くリックだったが……
「待ちなさい、リック。近寄っては駄目よ」
「……え?」
隣を向いたリックは思わず息を呑む。
あの厳しいながらも優しかった少女の顔に凄まじいほどの鬼気が浮かんでおり、神父をまるで親の仇を見るかのように睨んでいるのだ。
殺気。リックにとっては漫画でしか知らない感覚だったが……表現するならまさにそれだ。
荒々しく腰の剣を引きぬくとその剣先を神父へと向ける。呆然とそれを見た後、リックは慌てて制止に入った。
「ふぃ、フィーナさん!こ、この人は自警団でも冒険者でもありませんよ!そんな乱暴する必要は……!」
「……どきなさいリック。そいつは危険よ!」
「危険ってそんな……」
少女の突然の豹変の理由がまるで分からず、混乱するリック。
神父様が騒ぎだしたら一大事になるため、何とか弁解しようと振り向くリックだったが……このような状況にも関わらず神父は相変わらず笑みを浮かべている。
これほどの殺気と剣を向けられ何故、未だに何のリアクションも無いのか。
誰もを安心させる包容力に満ちた笑顔、だがこのような状況で浮かべられたら不気味以外の何者でも無かった。
まるで神父のいるあたりの空間だけが歪んでいるようでリックは寒気を感じた。
「リック、何をぼさっとしているの!貴方も早く剣を抜きなさい」
「え……で、でもですね……この人は!」
「躊躇ったら私達が、十件目の犠牲者になるのよッ!」
「…………は?」
頭が真っ白に染まる。放たれた言葉を処理することが出来ない。
十件目の犠牲者だって?それはつまり……
感情の一切が抜け落ちた瞳で神父を捕えるが、神父は肯定も否定もせず佇んでいた。
フィーナは未だに現状を把握できていないリックに対して言い聞かせるように呟いた。
「こいつが……商人殺しの犯人で、貴方に冤罪を押し付けた張本人なんだからね」




