2日目
俺は目覚めた。 もちろん、昨日のことは覚えている。
しかし、それ以前の記憶は戻っていなかった。
寝る前に期待した自分がバカだった。夢じゃなかったんだな。
顔を洗って部屋に戻ると、思わずため息が出てしまった。
(どうすっかな、今後)
なにしろ自分が何者かわからないのだ。
名前は「コウヘイ」というらしいが、仕事をしていたのかどうかはわからない。
もしかしたら無職で、引きこもりだった可能性もある。
(自分についてわかるものはないのか)
部屋を見渡してみても、証拠となるものはなかった。
(うーん、どうすっかな・・あれ?)
ポケットに何か入っている。寝る前には全く気づかなかった。
(これは・・・携帯電話?)
おそらく俺のだろう。ガラパコス型の携帯だ。
開いてみると待受画面が表示された。男女二人が並んで写った写真である。
男性は・・・自分だろうか?ついさっき見た鏡に写る顔に似ている。
女性は誰だろうか。長いロングヘアーで、活発そうな顔でこちらを見つめている。
(自分との関係は?彼女・・・なのか?)r
電話帳を調べてみると、ある大学の電話番号のみだった。東光大学という名前らしい。
俺はこの大学に通っていたのか?しかし、全く記憶にない。
他を探してみても、それ以外に役に立つ情報はなかった。
(収穫はロングヘアーの女性と大学の電話番号か・・・)
大学に連絡してみるべきか、迷っているとパソコンから大きな効果音が聞こえた。
どうやらショートメールが届いたみたいだ。謎の少女からのお呼び出しらしい。
仕方ない。また情報収集の時間になりそうだ。彼女も困ってるらしい。
(さぁ、行くか。NEXTCITYへ)
俺はかすかな希望を辿りながら歩き続けている。前に進まないと不安になるから。