6面
6面主人公
スパーダ・ハルトマンのボイスになります。
http://www.youtube.com/watch?v=5JLa5uvD7K4&feature=youtu.be
ホーネット・スクワルツのボイスになります。
http://www.youtube.com/watch?v=0RbNgSKEdcU&feature=youtu.be
●キャラ紹介⑥~「レーベン・スレイブ」
◆スパーダ・ハルトマン(ハルトマン=不屈の男)
・ガリリア王国を根城にする遊牧民族の一つ「水の民」出身の傭兵団の小隊長。
・水の民は海沿いを渡り歩いて魚介を行商する貧しい民、故に男手は傭兵団として出稼ぎにいく習わしがある。
・傭兵業は民族の稼ぎの中でも大きな割合を占めるので、「水の民の傭兵団は決して裏切らない」との評判も高い。
・鋼の大剣を両手にたずさえて、対鎧騎士戦にも名乗りをあげる重戦士。
・対軽装兵士との戦いでは剣を両手それぞれに持ち、戦場を縦横無尽に駆け巡る万能兵。
・饒舌とは言えないが、生き残る度に位が上がるため、いやおうなしに部下を率いる術を身につけている
・円卓騎士団と対王宮のクーデターで(の真相は知れされておらず)今回の取引では、いつもより高価な対価で雇われていることを疑問視している。
・妻と子を屍を乗り越えて養う35歳。
◆クレア・ハルトマン
・「水の民」出身の傭兵団の小隊長、スパーダ・ハルトマンの妻。
・元は教皇に仕える神官で、水の民のスパーダとは傭兵の任で教皇の護衛を任された際に知り合う。
・僧侶としての才能に長け、将来を嘱望されていた。
・通常、女性の僧侶の場合には、その治癒の能力が大幅に下がるため、男性との姦淫を禁じられている。
・スパーダとは1子を宿し、全盛期の治癒の力は大きくうしなわれて
いる(エリートの僧侶の場合、蘇生レベルの力を持つ)
・現在は、スパーダが傭兵隊の隊長として雇われる事が多く、水の民の習わしで、隊長の妻子を人質として預けるため、夫子とのこの先の生活に苦慮している。
・ひたすらに夫とともに生きようとする女。28歳。
◆ホーネット・スクワルツ
・ガリリア王国を根城にする遊牧民族の一つ「風の民」出身のこそドロ。
・風の民はそれぞれの遊牧民族間の商材の仲介役の問屋のような事をしている、貧しい民ながら、商才のある民なので、なんとかやっている。
・こつこつと貯めた資金で各民族の余剰在庫を買うので、民族間での信頼度は一番高い。
・小柄で素早く、商才がある民族のため、度々大盗賊を輩出するという、民族的な特徴をもつ。
・宝石などをはじめとする貴重品がこの民族の商いの流通に乗るのは、盗賊組織が闇で暗躍しているからと想定されている。
・ホーネット自身は、生まれた時既に父母がおらず、親戚縁者をたらいまわしにされて、風の民の中でも闇で運営されている、盗賊のアジトに自然に出入りするようになった。
・孤独ながら自活の術を得て素直に育っている不思議な境遇。パーティーの中では年齢が近しい、フェーザーに親近感を抱いている。
・天涯孤独、強くしたたかに生きる14歳。
●6面 ~「レーベン・スレイブ」
聖ガリリアント歴375年、教皇シムビアン13世の傀儡政権となった、聖ガリリア王国、首都の城塞都市ビリジアは、円卓貴市の長、聖騎士バスチーフのクーデターによって陥落した。
しかし、戦力に劣る円卓騎士団は、国内の今だ根強い教皇派の地方の貴族達になやまされていた…。そこで、円卓騎士団の一部を各地に派遣。王の名の下に「国家結束同盟」という徴兵制度をつくり、教皇派に属さない各地の貴族、そして一兵卒に至るまで、教皇派の殲滅を目的に「兵士狩り」を行った。
そして、死を超えて甦った、神魂騎士の筆頭、現王位継承権第二位の少年、フェーザー・ブルゲングルツの住む、辺境の小さな村オーランゲ方面に設営された、国家結束同盟のアジトでは、屈強の傭兵、スパーダ・ハルトマンとその妻クレアが、来し方行く末を懸念して、牢屋の柵ごしにささやきあっていた。
「いつもすまんな。あのティーゲルって女、お前の治癒の力が弱まっているのを知ってて、力押しで腕をつなげさせやがった。すまん…仕事以外に負担かけちまって。身重のお前に…」
「でも、部族のしきたりで、あなたが傭兵長の間は、常に長の肉親が人質にとられるわ。多分、赤ちゃんはもう死ぬわ。運が悪ければ私もこのまま…。」
「所詮、戦争屋だ。怨みなんていくらでも買ってる、すまん、巻き込んじまって…いっそガリリアを出るか…?」
「おい、傭兵。私語は慎めよ!」
国家結束同盟の兵士が牽制して口をはさむ。
「いいんだろ、おまえら雑兵と違って、こっちは小隊長待遇なんだ、上官に指図か?」
「いいえ、失礼しました!」
雑兵は返り討ちにあったように、さっき妻クレアにごり押しで腕を付けさせた、副官ティーゲルの兵舎へと駆け込む。
副官ティーゲルは、国家結束同盟のブラウ方面の副官を命じられていたが、闘技場出身の私兵を連れて参じているため、司令官と同等に近い勢力を持ち、つばぜっている少しややこしい内情ではあった。
そのティーゲルの、契約違反も同等な治療により、クレアはかなりのダメージを身体にうけていた。胎内の新しい命が悲鳴をあげていることに、クレア自身は今の身の上に疑問と危険を感じざるを得なかった。
「アーニキ。こーんな鍵もオイラなら1発だよっ。」
気配も見せずに現れた年端もいかない少年。
「バーカ。ガキ一人救ったからって、傭兵の仕事のついでだ。さっさと風の民のところに戻って、首都陥落の事を教えてやんな。火の民と土の民が、この国家結束同盟にそそのかされて、木の民は滅亡状態だそうだ、俺たち水の民と、お前らの風の民が巻き込まれるのは時間の問題だ。おまえにもおとうちゃんやおかあちゃんがいるだろ。」
「オイラ生まれてこの方、自慢じゃないがひとりぼっちだよっ。アニキに恩を返さなきゃ帰れないよ。これでも盗賊、蜂小僧っていったら、この世界じゃちょっと名が通ってるンだよ!(アニキの奥さんと後ろで暗そうにしているオッサンと4人で逃げればあの鬼ババアくらいなんとかなるよ!)」
見張りが少なくなってきたのを見計らってやってきた、年端もいかない盗賊、ホーネット・スクワルツは仕事道具である鍵開け道具を取り出して解錠をはかる…。
暗闇から手かせをはめられた壮年の男、フェーザーの父ガードナー・ブルゲングルツが何かを諦めたような表情でつぶやく。
「さっきティーゲルとかいう女が持ってきた宝剣は、ガリリア18世の王位継承権第2位の証。あれがなにがしかの手に渡れば、第2の内乱の火種になる。ワシが皇帝婦人から預かった大切な王子は、多分あの女に…」
皆がお互いの行く末をすり合わせているさなか、光と共にきらびやかな装束をまとった神官が現れた。
「我が名は神官ヘム。ガードナーよ。主の子フェーザーは、確かに死んだ。だが神のお力により、ツヴァイ・ガリリア18世の任をおび、反円卓騎士団の筆頭、神魂騎士のリーダーとしてたちあがった。そして神は屈強な者どもをもとめている。スパーダ・ハルトマン。主の妻の命は今にも尽きようとしている。しかし神魂として召し上げる資質はもう持っていない。ぬしが神魂となるなら、妻の命を救っても良いぞ?」
「いきなり神様が登場ってか、オレは、さんざんぱら仲間が死ぬのを見てきた。だが、オレは運命にあらがい続けて生きさらばえてきた、流れには逆らって生きるのがオレの流儀。もちろんその答はイエスだ!」
神官はスパーダに神魂となるための腕輪を渡し、息も絶え絶えの妻クレアを蘇生させる。
矢次早にガードナーも言う。
「ワシも腕だけならなまっておらん。息子を助けさせてもらえんか、神官ヘムよ…。」
「さすがに我が名を知っておるか。しかしぬしの魂の残りは少ない。神魂となるためには大きな、魂量が必要。ぬしを神魂にしたら消滅してしまうだろうな。それに、ぬしらの最初の試練はフェーザーが到着するまでのわずかな時間に、このアジトを殲滅することです。屈強な者以外、神は必要としていないのです。」
「この駐屯地には首領の魔法剣士と、さっきのティーゲルの一団の二部隊で編成されておる。スパーダ殿には本隊、ワシにはティーゲルに、フェーザーの剣を我が手で引き継ぎたい。神官ヘムよ、ワシにティーゲルの宝剣に対抗できる力を!!」
「ぬしの魂は炎の赤、その魂を燃やせば主の剣は炎に包まれるだろう。」
「もちろんだ。我が子を護るために、命などいとうものか!」
ガードナーの叫びとともに彼の腕枷は外れ、腰の剣が赤白く輝いた…。
軽く身体を動かずスパーダは、すでに常人の動きではなく、鋼の大剣は短刀のごとき速さで流れるように振りかぶられていく。
「笑わせるぜ、こいつぁ不屈の男改め、不死身の男だな。負ける気がしないゼ。小僧、そしてクレア、オレら二人に任せて、おまえらは残った雑魚だけを狙えよ。オッサン、買ったからにはこのケンカ、生きて帰るゼ。」
「ふん。お前にも授ける剣もあったろうに…いくぞ、スパーダ殿!」
スパーダは部隊長の部屋、ガードナーは一方のティーゲルの一味。そしてホーネットはクレアの護衛に再度施錠した牢の中で籠城する。
スパーダ/ガードナーの両剣士は、いとまなく司令官の護衛2・3人を打ち倒して首領格をにらみつける。
「こんな時間に騒々しい。私を魔法剣士エプシロンと知っての狼藉か?」
「バカいってんじゃねえよ、オレ様はおまえらの小汚いやり方にウンザリしてたんだ。この国をひっくり返したって、全員がお前達になびくと思ったら大間違いだぜ。なんたって、神様が雇い主だからな。契約はこの場で破棄だ、うちの嫁があのクソ女、ティーゲルに殺されたみてーなもんだからな。」
(6-A面開始/プレイヤー操作)
魔法剣士は、詠唱をはじめると、身体の外周に防御壁で包まれ、小刀は青白く輝いている。術者の魔力が続く限り、ほぼ一方的に攻撃出来る状態で迂闊にも直線的に刺突してくる。スパーダは自身の力に大いなる過信をもって対峙し、切っ先のみをずらし、がっしと大剣を両手ににぎりしめて、貫通は難しいと思しき防御壁を真っ二つに薙いだ!!
「ほうらよっ!釣りはいらねえゼ?」
渾身の力で空間を引き裂くような一降りは、あまりにもたやすく防御壁を含んだ空間を輪切りにした…一度も手傷さえ負ったこともないその身体は血しぶきとも臓物ともつかぬものにまみれ、防御壁の中で飛び散った。
「おい、こんな奇跡なら、とっくの昔から、お神様とお友達になりたかったな…。無駄死に覚悟で行ったんだがな…。こいつはまったく、あきれた力だな。」
(6-A面エプシロン討伐にて終了)
一方、ガードナーも護衛を軽々としとめて、ティーゲルと対峙していた。
「おっさん、どうして牢を?まあいい。今は男を殺したくてイライラしてたところさ。おまえの子からぶんどったこの宝剣で、親子共々あの世に送ってやるさね!ハーッハッハ!」
「させるか!わが魂の剣、今、極まれり!その宝剣は国王の証、命をかけても、その一振り、我が子に遺してやるぞ。覚悟せい!」
(6-B面開始/プレイヤー操作)
(6-B面開始後/ティーゲルと戦闘)
ティーゲルの宝剣をたずさえた一太刀は、さらに速く、さらに重い超人的な威力へと昇華されていた。魂をすり減らした一撃を放つ、対するガードナーは威力は十分張り合っているものの、そのスピードにはついていけないでいた。
ある程度の高みまで登り詰めた剣士が見たならば、その優劣は歴然であった。
人生の半分、いや大半を剣に費やしたガードナーには、自身の限界を超えたこの剣でさえ、及びもつかないことに、衝撃にも似た絶望も感じていた。王宮騎士団では、結局実戦は少なかったものの、生き残り、模擬戦でも自分に肩を並べる者はいなかった。そしてフェーザーにも、ブルケングルツの誇りを剣にのせて伝えてきたつもりであった。
そんじょそこいらの剣では、フェーザーの剣はくじけないように育ててきたし、その成果は我が息子に受け継がれていたはずだ。とにかくこの虎を名乗る女の剣は、女がてらとは言えぬ程重厚で、そして恐ろしいほどずる賢い。
神官の補助がなければほんの数合で切り捨てられていたことだろう。
剣に生きた男に、はねのけるべき虚無感や無力感がのしかかってくる。
「その剣はどこで学んだ?」
「男にきいてやる耳もないし、言ってやる口もないさね!私の前では、男はみんな骸になるんだよ!」
「さすがアタシの腕を落とした剣だ、これなら親方もぶった斬れるさね!」
ますます勢いを増す魔法の細剣はついにガードナーの魂剣の剣先を打ち砕いた!
「なんと!」
「決まったねぇ。」
手首を二~三回振って、この宝剣の威力に恍惚を覚えるようにうすら笑いを浮かべると、剣のさばき合いは止めて、刺突の構えに移行する。
「!」
ティーゲルの勝利の身震いは、右腿の鈍い痛みに遮断された…。
「おっちゃんだって、オイラがやらせないよ!」
ホーネットが得意の投擲小刀での一撃を加えたのだ!
「こざかしい、決闘に水差しやがって、ちくしょう!ちくしょう!この卑怯者がっ!」
ティーゲルは小刀をすかさず抜いたが、踏み込みの軸足への影響は、いかんともしがたかった…。
「卑怯なのはオイラが全部ひっかぶるよ。おっちゃんは、オイラがやらせないよっ!」
「!」
ガードナーの叫びが部屋にこだました。スキを見ての刺突!!
ティーゲルもとっさに左胸に細剣を突き刺すが、うっすらとした感触しか得られない…
そして切っ先の折れた剣での一撃で背後の石壁に叩きつけられる!!
「ぅあっ!」
肺呼吸出来ないほどの衝撃が背骨一帯に響く!呼吸を絶たれ、すぐには動けそうに無い…
何より頼りの細剣は、ガードナーの胸元に刺さったままだ…
「おっちゃん!血が!血が!」
「坊主…すまんな。汚れ役をやらしちまって…。」
「おっちゃん!おっちゃん!死んじゃダメだ!おっちゃんの息子が来るんだよ!おっちゃん!」
「なーんとかこっちは片づいたぜ、オッサン…ってオッサン!どうした!?」
追って返したスパーダ夫妻が駆けつけた。
ガードナーは、砕かれた剣を捨てて、空いた右腕で宝剣を引き抜くと、おびただしい出血が絨毯を濡らす。
「フェーザーには、この二振りの剣を与えて、送り出してやりたかったが、ゴフッ…ゴフッ!!」
「オッサン、喋るんじゃねえよ、クレア、なんとかならねえのか!?」
「ダメ…。いま力を使ったら赤ちゃんが死ぬわよ…」
「なんてこった、子供の前でオヤジが死んじまうなんてな…畜生!」
いまいましい気持ちを身動きの取れないティーゲルの前に行って、頭上の石壁に拳を突き立てる。
スパーダのもはや、おぞましき力は、石壁をぶち抜き、拳の血糊がティーゲルの仮面にしたたる。
ティーゲルも未曾有の恐怖に失禁してしまう…。
「ひぃぃっ!」
「てんめぇ!」
「スパーダ・ハルトマン、そこまでにしておいて。過度の暴力は神魂騎士としての天罰を受けますよ。」
いつのまにか到着していた神魂騎士5名のうち、美しき彫像のような身体をもった、片腕がいびつな形の青年、バラデロ・ハンマーシュミットが自らを律するように諭す。
「スパーダさん、共に行きましょう。意味のない死は、神は望みません。」
父のいまわの際を両手に抱えて、涙に震えた声で、この一団の中心らしき青年が言う。
「父さん、僕、先に死んじゃったけど、父さんが今度は先に死んでしまうの?神官ヘム!いるんでしょう?」
光と共にきらびやかな装束の神官が現れる。
「フェーザー、いやツヴァイ・ガリリア18世、命の炎が短き者は神魂にはなれないのです…」
「僕の魂を分けてあげれば良いじゃないか!早く!」
「人の定めをねじ曲げることは、神に禁じられています。私は、神ではないのですから…」
「父さん!!父さん!!!やめて!!!父さんが死んじゃう!」
少年、フェーザーの涙に耐えきれず、アネーロとシグマがフェーザーを室外へと連れて行く。
スパ-ダが、怒りのままにもう一撃をティーゲルの顔面をかすめるように石壁を撃ち抜く。そしてかするようにはがれ落ちたティーゲルの鉄仮面の下からは、絶世の美女があらゆる水分をはき出して、顔を恐怖にひきつらせて硬直している。
「オレも傭兵。恨まれてなんぼだが、こんなに人を恨んだのは初めてだ、さっきのはクレアの分、そして、いまのはオッサンの分だ…二度とオレらの目の前に現れんなよ…次はブッ殺すぞ…。」
スパーダが残った面々を連れて室外へと向かう…
「殺せ!殺せよ!」
我に返ったティーゲルが絶叫する。
「ここで逃したら、お前達を全員ブチ殺してやるさね!さあ、やんな!」
「王子さまが我慢してんだ、オレにはなんも出来ねえよ…。」
「ちきしょう!殺せ!殺せ!殺せよ!!」
傭兵、スパーダ・ハルトマン。僧侶、クレア・ハルトマン。盗賊、ホーネット・スクワルツを加えた一行は、
虎と呼ばれた女の、悲しいいななきを聞きながら戦場を後にした。