お荷物届きました
バカみたいな着声で、滝のように汗をかいた俺は惰眠を妨害された。
うつ伏せのまま手探りで手を伸ばし、携帯を開く。
表示された名前は、バカをやる仲間だった。
「なんだよ、朝っぱらから……人が寝てんのに」
『ぐっもーにん。もう十時過ぎたぞ』
窓を見れば、カーテンから朝日とは色の違う光が差し込んでいた。
「で……用は?」
『荷物送ったからさ、受け取ってくれよな』
「荷物?」
『そ、でっかいやつ』
うつ伏せがキツくなって、仰向けに体勢を変える。
「うちにそんなん置くスペースはない。拒否るぞ」
『それは困る、ナマモノだし』
「ナマ? ……そういやお前、ここんとこ見なかったけど何してたんだ?」
沈黙するあいつの向こうから、ガタガタと音がする。
車で移動している最中なのだろうか。
「……まぁいいや。いつ着くんだ?」
『今日の午前』
「それを早く言えっ!」
怒鳴りながらおもわず飛び起きた。
『もーすぐ着くと思う』
ガチャッと携帯を通して大きな音が聞こえた。
「は?」
ぴぽーんと間抜けなインターホンが鳴るのに少し遅れ、携帯の向こうでぴぽーんと音がした。
『ま、着いたその時は、宜しく』
課題文:その時は、宜しく。
20090716:初出 20111123:移植