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掌編匣  作者: 間宮 榛
三題噺
3/9

蔵の夢



「っかしーな、確かここら辺のはずなんだけど……」

「お前の記憶違いじゃねぇの?」

「や、確かに蔵のここら辺だって婆ちゃん言ってた」

「んな夢で言ってたこと真に受けんなよ」

「お前にはわからんって。毎晩毎晩死んだ婆ちゃんに夢枕に立たれて『ゆう~、蔵ん中さ入れた桐箱を探してけろ~』『ゆう~、桐箱さ見つかったか~』って言われ続けてみろよ、探さなきゃおられんくなるから」

「そりゃご愁傷さま。てかさ、何で同じ家に住んでた俺じゃなくてゆうの方に化けて出るわけ?」

「知らんよ。聞いたらさ、夢を渡るのにお前より僕のが相性良かったらしいね」

「夢を渡る? ……お前も昔っから変な事に巻き込まれるよな」

「その言葉、そっくりそのまま返すよ」

「お互い様か。あー腰痛ぇ」

「文句なら婆ちゃんに言えよ。僕だって腰痛いし」

「前屈みしっぱってやっぱキツいよなー。腰パキパキ言うし」

「僕も」

「なんか懐中電灯の具合も悪いしさ。さっきからちらつくんだよな」

「電池なくなってきてるんじゃない?」

「かもな。放置されてたやつ拝借してきたから」

「してくるなよ」

「一応借りるって言ってきたし」

「誰もいない空間に向かって?」

「そうそう。……なんで柚はわかるかね」

「だってお前単純だもん」

「あっそ。マジで電池ヤバそうだから換えてくるわ」

「いってら。早く帰ってこいよ」

「怖がりの為に頑張ったるよ」

「超特急でな」

「はいはい」

「…………わざわざ化けて出るなんて、一体何隠したんだよ婆ちゃん…………これは茶碗か……こっちは……蓄音機? なんでまた…………これは掛け軸だし……壺は割ったら嫌だからパス。この箱は……桐なの? 木箱ばっかでわからんし。せめて箱のサイズ教えてくれないとホント探すのに困るし。開ければわかるってヤバい系なのかな…………これは市松人形か。暗いとこで見ると不気味だなぁ……早くしまおっとせ」

「ただいま」

「うわぁっ! ……まじビビったし。おかえり、早く探すの手伝ってくれ」

「はぁ」

「ちょ、この箱どかすの手伝って」

「はぁ」

「たっだいまー」

「え?」

「え?」

「柚、箱持ってる奴、誰?」

「「…………」」


「「でっでたぁーっ!!」」



「……脅かす気はなかったの。ごめんなさい……」



題:電池、見つかった、ごめんなさい

20090316:初出(三題噺参加作品) 20111101:移植 20111123:編集

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