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4-2…まだ温い日常『捜索進行中・怪異接近中』




準備が済むのはあっという間。


寝癖などの面倒な身支度は冠月荘の段階で既に調えてあり、

あとは着替えて菓子パンを咥える程度なのだからいつもよりスムーズに玄関を出る事ができた。


手早く準備をしなければ日雀と戌彦の蛟退治に影響がでるかもしれない。

そう考えたなら、もっとお喋りしたいとゴネるサボ子に我慢を強いるのも致し方ないだろう。


とりあえずは差し迫った危険を彼女等に除いてもらわねば

気楽にお喋りする時間も満足に取れやしないだろうからだ。


おかげで当初は学校に遅れるかと思っていたが予想以上に早く着けた。


代わりに皺寄せを受けてむくれていたサボ子には後でご機嫌取りをしなければなるまい。

週末は終日部屋に引篭もって相手をしなくちゃな、と、守人は頭を掻きながら思う。


通常より15分早めの登校はちょっぴりの罪悪感に繋がっていた。



(えぅ、もういっちゃうのか?)



出掛けのサボ子、その声を思い出して胸がチクリ痛む。


がらんとした道路の空虚さもそれを手伝って何ともいえない申し訳なさを覚えるのだ。

生徒達が通学に使う電車の到着間隔、その中間帯にハマったのだろうか、殆ど人がいない。


田舎なだけあって高校周辺であっても軽トラックが時折行き交う程度。

早朝練習に汗を流す運動部の青春をBGMに静かなものである。


今日は帰りにホームセンターで肥料を買って帰ろうかなどと

埋め合わせに思考を巡らせていると自転車籠の中で日雀がくるりと向き直った。



「では、私はここで。

 安心して勉学に励んでくださいね」


「はい、そちらもお気をつけて」


「ふふっ、失礼します」



学校の正門前、日雀は軽く会釈して籠から

晴れた空へ吸い込まれるように高度を上げていく。


日常をきちんと送る事が彼女等の仕事に対する正しい返事の仕方なのだろう。


安心して勉学に励め、か。


守人の心の内にゆっくりと彼女の心が沁み込んだような気がした。






そうして日雀を見送ってから裏手にある駐輪場に行こうとしたところで

手を振りながら軽快な足取りで近付く京子の姿が守人の目に留まる。


ついでにその遥か後方を見やれば続々と他の生徒が列を成していた。

おそらく電車通学組なのだろう。


普段なら後ろから追い抜いていく流れを先頭から眺めるのはどこか壮観な感じがする。

そんな他愛も無い事を考えていると京子はすぐ目の前まで来た。



「おっはよー、今日もいい天気だよねぇ」


「おはよう井下さん」


「んふー、今日は早いね。

 いつもHR5分前くらいなのにどうしたの?」



たしかに、学生生活という分単位でルーチン化された毎日において

時間は明確な差異に映るのかもしれないな、と守人は納得した。


自分が大変な事情を抱えていても世界は『いつも通り』を刻んでいるのだ。


苦手意識を持っていたはずの京子の姿にそれを感じて、どこか安心を覚える。

戻ってきたと言うのは変であったが、まさしく家のドアを開けた時に似た安堵感だった。

これが日常なんだな、という。



「偶々だよ、そういう気分だっただけ」


「ふーむ、ほっぺたの青痣と関係アリアリかい?」


「……まぁ、そんなとこだよ」



傷というわけでも無いのでガーゼも湿布も貼ってはいないのだが、

不名誉の痕跡は少々目立っているようで、京子は痛そうだねと守人を気遣ってくれた。



「しかし、守人くんは意外とメルヘンさんなんだね」


「はぁ?」



メルヘン、そんな形容をされたのは生まれて初めてだ。


彼女の思考回路がどう回ったのか理解不能だ。

青痣からの連想がこの単語に繋がるにはどうすればよいのか。


守人が問うと彼女は答えた。



「だって、通りすがりの猫ちゃんとか、

 家の鉢植えなんかに話しかけちゃうタイプなんでしょ?」



見てたよ~、と楽しそうに笑う。


ようやく守人は合点がいった。

日雀と話していたのを見られていたのだと。


羞恥心から顔が少し熱を持ったのが分かった。


傍目、野鳥に話しかける男子高校生。

怪我に対しての愚痴をその辺の鳥にぶちまけている姿にしか見えまい。


客観視するとなるほど、確かにある種の夢見る乙女な行動にも捉えられよう。



「昔そういうCMあったよね。

 サボテンだっけ、悩み事相談するやつがさ」



幸いにして彼女はそれ以上『小鳥に話かける高校生』への追撃を加える事もなく、

テレビCMへと話題をシフトさせはじめたので、守人は恥かしさを誤魔化すために全力でソレに乗っかる事にした。



「たしか、アロエじゃなかったっけ」


「あ~、それそれ、懐かしいっ」


「その頃、小学生だったかな」


「うんうん、あれ好きだったよ」



若干テンションの高い京子に押されながらも楽しい時間。

駐輪場に愛車を停めるまでの間、テレビ談義に花が咲く。


守人はテレビっ子という彼女の新たな一面を発見した。

得体の知れないところのあった彼女の人物像が、また一つ身近になった気がする。


適当に話を合わせつつ話していたら、そうそう、と思い出したように彼女が言った。



「私はアロエじゃないけどさ、困った事があったら相談してね。

 ほっぺのソレは親子喧嘩か何かだろうけども、心配しちゃうよ~」



もうメルヘン云々を掘り返さないでくれ、と思っていたが彼女は真顔だ。

純粋に好意と心配から言ってくれているみたいで、ありがたかった。




下駄箱で上履きに履き替えていると京子は職員室に用があるようで、

一緒に行こうかと守人が聞くと、彼女はそれを断って背を向け歩き出した。


守人としても用も無いのに職員室周りをうろうろしたくはなかったので

教室へ向かうべく逆方向へ足を一歩踏み出した……瞬間。



『……小鳥トハ何ヲ話シテイタノカナ?』



そっと不気味に耳元で囁かれた、全身が冷え切ってしまうような音。

一瞬にして汗が噴き出て、喉が乾いた。



「……ッ!」



悪寒を振り払うべく身構えた背後には、すでに京子の姿は無かった。

ただ、賑わいを増し始めた早朝の玄関ホールがあるだけだ。


気のせい、か。


ふぅ、と息を吐いて落ち着いた守人だったが、

突然立ち止まり後ろを振り返ったために幾らかの視線が突き刺さる。


……。


守人は居心地の悪い空気になったのを誤魔化す為に

しゃがみ込んで上履きを直す素振りをしながら、先ほどの事について考えた。


はたして空耳だったのだろうか。


一つ大きく呼吸して、肩から力を抜く。

昨日から色々ありすぎて気にしすぎなのかもしれない。


気のせい、大丈夫だ。


何故なら事態は解決に向かっているはずなのだから。

守人は戌彦と日雀が無事に終わらせてくれるのを祈った。







非日常との繋がりは、

やっぱり日常にどこか陰を落とすものなのだろう。


それが妙に気にかかったからか、午前中の授業はほとんどが上の空のまま。


四限目の終了を告げるチャイムが鳴っても守人はそのままだった。




******






一方、太陽が中天に差し掛かった頃。

戌彦たちの蛟捜索は守人の希望とは裏腹に難航していた。


交戦時の相手の特徴、蛇型である事や靄を用いた隠行など特殊な技術を有する事などから

おそらくは水妖だと当たりを付けて雲仙市中の河川を回っているのだが……



「『蛇比良(たいら)川』なんて随分とらしい癖に、サッサと出てこいよ」



生い茂った蒲や尾花をうんざりと眺めながら、

川縁のオフロード、農業道路と言うには少し雑な荒れ道を歩く。


そして、時折立ち止まっては舌打ちを繰り返していた。



「くっそ、霊穴が多すぎる」



あちらこちらに地下経由での霊的な流れが走っている。

捜索が進まないのはこれが大きな理由だ。


もっとも、どの土地であっても大なり小なり

そういう地脈と呼ばれる力の通り道はあるものなのであるが、この土地は異常すぎた。


戌彦の悪態に日雀も頷く。



「伊達で『雲仙』を名乗る土地ではありませんからね」



由来は遥けき古代神、雲仙神(うんぜんのかみ)


一説において温泉の語源となったとも言われているのは

この半島の中心に鎮座する雲仙岳が非常に活発な火山であるのと豊かな地下水源を持つからだ。


霊穴が多いのと地下水源の多さ。

雲仙の神、つまりは温泉の神の影響が強いのは至極当然だろう。

水妖たる蛟にとって多大なる加護を得られる土地でもある。


そこかしこに霊の通り道が空けられ、

しかもそれぞれから微妙に蛟のような気配を感じる事ができるのだ。

日雀が一つ一つに簡易的な探査術式を走らせているが数が多すぎて効果が上がらない。

これこそが蛟が半島中を徘徊できた訳であり、どこのコミュニティにも捕捉できなかった理由だ。


幸いと言っては何だが、蛟は現在戌彦と守人、極上の餌が近くにあることを知っている。

戦闘でこちらを圧倒できていた以上、この地から遠ざかるなどないのは確実。

捉えるその時は着実に近づいているはずだ。


顔を上げ、頂上に太陽を担いだ雲仙三峰五岳を見つめた。



「雲仙神は今のところ私たちの活動に沈黙を守ってくれていますが……

 我が杜人神系の総意としても『龍繋ぎの神』とは戦いたくない相手で五指に入りますから」



長崎最高峰の山々、それ自体が雲仙神。

何か癇に障るような真似をする前に可能な限り早く事態を収拾したい。


少しばかり焦りを含んだ声が日雀からこぼれる。




雲仙神とは、この地に太古より息づく大地神だ。

彼の偉大な魂をたかだが温泉の神様などと侮る馬鹿な神霊はいない。


何故ならば天照大御神(あまてらすおおみかみ)などを中心として近畿に本拠を置く大和神系。

双璧を成す大国主神(おおくにぬしのかみ)こと幽冥主宰大神(かくりごとしろしめすおおかみ)が率いる出雲神系。

双方が協力して過剰なまでに封をした秘神なのだから。


雲仙神に関わりある社、これは俗に『温泉神社』と呼ばれている。

しかし、祭神と祀り上げられているのは雲仙神ではないのだ。


温泉神社には白日別命(しらひわけ)豊日別命(とよひわけ)豊久土比泥別命(とよくじひねわけ)建日別命(たけひわけ)速日別命(はやひわけ)の五柱が祀られている。


その内、前の四柱の神は筑紫島四国……

つまりは九州四箇国、筑紫、豊、肥、熊曽を象徴した神でもある。

故に温泉神社は神々が面を合わせる場所として別名『四面宮』とも言われる。


彼ら九州島そのものである出雲の大神たち、そこに高度な術儀を修めた大和の速日別命。

そんな尋常ならざる面々が集合してまで恐れるように封じたのが雲仙神。


温泉神社とは雲仙神の力を弱め、

本来集まるべき信仰を彼ら他の神霊が収奪し封印を維持する為に創られた枷だ。




かつて『島原大崩落』という大災厄があった。


それは山岳をその山体ごと吹き飛ばし濁流の如く半島東部を覆う暴力の嵐。

被災地域は山が丸々一つ崩れて生まれた土石流の巨壁に何もかもを圧壊させられ悉くが壊滅。

その衝撃は空を震わせ海を挟んだ熊本肥後にまで津波となって及び、数え切れぬ命を呑み込んだ。


ちなみに、2011年、東北沖大震災において

大被害を齎し十数万の人々を喰らい尽くした津波は20m級。


自然地理学者たちの研究によって現代に明かされた島原大崩落の余波は……、

なんと2倍以上の最大波高、およそ50mにも達した異常過ぎる大津波であったと判明している。


しかし、これはあくまでも大地神である雲仙神が陸で起こした神威の残滓でしかない。

ほんの二次的に巻き起こった津波ですら有明海沿岸部を蹂躙しつくした事からその強大さが伺える。


社から名を奪われ、語り部を失い、集まるべき信仰を削られ、

更には神々が協力して封印した状態であるにも関わらずこの惨状。


現代において神秘の弱まりで他の神々と共に力を落としたかと思いきや

近年の普賢岳の噴火など地形を変えるほどの莫大なエネルギーを未だに宿しているのも分かっている。


触らぬ神に祟りなし、日雀と戌彦はそういう意味でも早期解決を目指していた。



「……もう少し上流、か」


「えぇ、気を抜かずに行きましょう」



川を辿りながら、彼女達は蛟を探す。







******






「……ふぅ」




守人はいまいち調子の出ないまま昼休みを迎えていた。


友人や教師から散々と青アザについて聞かれた気疲れもあったのだろう、

もそもそと菓子パンを頬張りながら机に肩肘を付き、もたれかかるようにして脱力している。



「やほー、どうしたの今日は」



そこ座るよ、と京子が来た事にも気付かない。

きちんと視界に収まってようやく返事を返せた。



「何でもないよ」


「君が女の子だったら月一限定で理解したげるけど、

 その様子だったら、ちょ~っと無理あるんじゃないかなー」



朝にからかい過ぎちゃったかな、と京子はバツが悪そうな顔をした。


そんな珍しい表情に僅かばかり驚いて身体を起こした守人は、

引き出しの中、点滅でメールの着信を知らせている自分の携帯電話が目に入った。


どうやら戌彦からのようだ。



『蛟捜索継続中

 オカルト研究部の活動を本日中は中止させるように』



まだ蛟を捕捉できてはいないらしい。


守人が昨日聞いた限りでは隠れるのが上手い妖怪だそうなので、

スッキリ行けるとは思っていなかったが、それでも少しだけの落胆と不安はある。


……が、いつまでも腐っているわけにはいかない。

元々オカ研の足止めは守人自身、大切な役割として考えていたのだから。



「井下さん」


「なんだい?」


「放課後の考古学研究部、オカ研での事だけど

 どうしても今日だけは活動を止めて欲しいんだ」



こういう事はかしこまって正直にお願いするのが一番だ。


危ない妖怪に襲われるかもしれませんなどと頭のおかしい事を言うわけにはいかないので、

本当の理由を話せないのは問題だが、なんとか説得しないといけない。


念のために一般人(?)向けの理由も考えてきてはある。


用事があって今日は早く帰らないといけない、

せっかくのオカ研の初活動なので延期してくれないか、くらいなものだが。


部長の武田は何だかんだで誰かと一緒に居るのが好きな人なので割と成功する公算だ。


この理由で障害となるのは京子が居た場合、

武田が女子の為に中止にするわけにはいかないと出発してしまう事。

だからこそ先に彼女から説得して中止を決定付けなければ。


そう内心で緊張を抱え、いざ嘘の方便を利かせよう……とした矢先。



「そっか、わかったよ」



理由も聞かずに京子は頷いていた。

これには思わず守人も戸惑う。


すんなりと話が進むのは願ったり叶ったりなのだが、

何かしらの反応があって然るべきじゃないだろうか。


問うと、彼女は微笑んで答えた。



「あはー、理由なんか分からないけど、

 君に『どうしても』と言わせるだけの何かがあるのは分かるよ」



だったらソレで十分だもの、と。

そして、続けて言った。



「どうせだったら初回は皆で活動したいもんね。

 部長に今日は延期しましょーって言いに行こうか」



どうやらありがたい事に次なる説得にも協力してくれるらしい。


上手く行き過ぎているような奇妙さを感じながらも、

守人は昼食を終えたら早速部長の武田に延期要請をしにいこうと思った。







このとき、守人は色々といっぱいいっぱいであった。

緊張であったり、拍子抜けする事の運びようだったりと緩急がついていた所為だろう。


京子の不自然なまでの笑顔の裏を考える事もなく、また呟きも耳には届かなかった。



「……厄介だなー……でもお邪魔虫は消さないと……うひひ」







******







雲仙市、高下堤(こうげつつみ)


広さはおおよそサッカーグラウンドほどある、森に囲まれた緑溢れる湖。

『高下地区農業用水兼消防貯水池』、看板の文字はすっかり擦り切れていた。

人工地であるにもかかわらず手付かずと言っていいぐらいに木々が周辺を覆っている。


時刻は午後3時になったばかり。


初夏の暑い日差しが和らげられており、

一日外で活動していた戌彦にとって助かるものだった。



「とりあえず、ココが終着点なわけだ」


「そのようですね。

 残り香のようなものですが気配が濃い、これは近いみたいです」



さっそく日雀が探知を始め、戌彦は襲撃に警戒を強めた。



「……先ほど私たちが辿ってきた川へ通じる道は、

 ここ数時間内には蛟が通った感じはないようです。


 堤から繋がる水路……農業用取水関へ一本…これは違うか。

 分岐して小川が……一本あるけれどこれも残滓を感じない。


 これだけ気配が濃ければ近いはずなんですが……地図だとこれ以上道が無いですね」



水面に呪符を巻いた掌を乗せ、探っているが掴めない。


人の手が良く入った取水関などは神秘が潜むに適さないし、

小川の途中は地図を見る限り高下堤を出るとすぐさま住宅密集地の脇を流れる。

無論、それを逆手に取って隠れている可能性もあるのだが、妖気滓が少なすぎた。


となれば……。



「どこかに秘密の通路があるってわけですかね」


「戌彦、気を抜かないように」



ゆっくりと水際の森を周回しながら秘された穴を探す。


いつ襲われても対応できるようにしていたおかげで遅々としたものだったが、

一時間もすれば十分に回りきる事ができた。


そうしてついに見つかった。


草木と蔦葉に侵食されて埋もれていた赤錆た鉄板。

無理やりにこじ開けられた破壊痕。


覗き込むと、存外広めの円筒空間が緩やかな下り傾斜で続いていた。

吸い込まれそうな暗黒がぴちゃぴちゃと水音を響かせながら大地の下へ誘っている。



「これは『旧水路』か」



雲仙市は市町村合併の前後に大規模な区画整備を幾つもおこなった。

当然、古くなった水道や水門なども調整を入れているに違いない。


これもまたそういったものの一つだろう。

すぐさま日雀は手元の地図を確認したが載っていなかった。

新しく整備したものがあるから、消されたものというのが妥当か。



「一目で分かるほど濃い、ですね。

 まず間違いないと思いますが旧水路がどこに出るのか探知します」



水路に入り込む空気の流れを呪符の力で細かく感じ取りながら、

日雀は隠された道筋を地図に赤ペンで書き込み始めた。


ところどころで川に抜けたり、田園地帯に抜ける分岐路があったが……



「これはっ、不味い!」



日雀は地図のあるポイントまでペンが進んだところで叫んだ。

有無を言わせず戌彦を抱え、慌てて空へ飛び出す。







ひらり、旧水路入り口に残された地図。


赤い赤いインクが最後に示した場所は……長崎県立雲仙高等学校、その直下。




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