表明
第4話 表明
前回まで
ヒュラはネラと遭遇する。導入
①ヒュラ
「それでさ、今日、変な夢を見たんだ」
ヒュラは、ネラに今日見た夢の話をした。
②ネラ
(以前、ヒュラは夢の中でなら全てを意のままにできるって言ってたな)
③ネラ
「今話した夢って、君にとってどんな意味があるんだろう?」
④ヒュラ
「わからないけど、起きてから、なんか凄く調子がいいんだ。
これまでにないくらい………。
とりあえず、魚を隣の婆さんの家に持って行くよ」
⑤ヒュラの家は隣の老婆から譲り受けた質素な物小屋で、少し離れたところに、老婆の家がある。
ヒュラは隔週で1回ほど、老婆に上等な魚1匹を渡している。
ヒュラは、4年半ほど、その物小屋で一人暮らしをしている。
⑥戻ってきたヒュラに、ネラが声をかける。
ネラ 「明日の給食争奪戦で、食べ物に困らない?」山場1
①ヒュラ
「自分の食べ物くらい、自分で勝ち取ってやるさ!」
(ヒルは特殊能力を使わない。
ヒルがトップになれるんだから、僕もなれるはずだ!)
「いつか、ヒルみたいに能力なしで勝てるようになる!」
②ネラ
「ヒルはお金持ちな戦士の家系で、小さい頃から厳しい基礎鍛錬をしてるんだって。
独自ステートも第1世代以上。ケラにしか使わないみたいだけど」
ヒュラ「そんな事、よく知ってるな」
③ネラ
「家系はともかく、能力くらいは同じクラスなら知ってるでしょ?」
ヒュラ「他人の事を気にしすぎだな」
ネラ「君が周りに無関心過ぎるんだよ!?」
④ヒュラ
「にしても、僕を気にかけるのは君くらいなもんさ」
ネラ「ヒルも、君を気にかけてるよ」
⑤ヒュラ
「ヒルが僕を気にしてるだって?
見下してるの間違いだろ?あいつが僕を気に留めるとは思えない」
ネラ「いいや。ヒルはヒュラをライバル視してる。
戦闘センスではヒュラに分があるし」
⑥ヒュラは、何か腑に落ちない。
「そうなのか?」
⑦ネラ
「君にセンスがある事は明らかだ。
君が重系だから、誰も君の実力を表向きには認めたがらないけど」
ヒュラ
「へえ。僕が重系だから?まあいいや」
⑧ヒュラ
「僕はバリリオンズに入隊する!誰よりも強くなる!」
ネラ「そうだな!」
⑨それから少し間をおいて、ヒュラが真面目な顔でネラに向き直る。
「君に、僕の本当の独自ステートを伝え切れてないと思うんだ。
マイステートメント’自己強化意識’の事なんだけど」
⑩ネラ
「自己強化意識?前に聞いたような………」
⑪ヒュラ
「そう。僕の独自ステートは、
自己強化へ意識を集中させる事と、
自己に強化された感覚的な意識を向ける事」
山場2
①ネラ
「そうだ。3年前に言ってたね。把握強化とはどんな違いがあるの?」
②ヒュラ
「把握だけじゃないんだ。
うまくいけば、心身ともに機能を制御することもできる。
と言っても、機能制御より、感覚的拡張か強化の方が近いんだよなぁ」
③ネラ
「ヒュラってネゲント系っぽいとこあるし、納得だ。
ただ、ネゲント系は直接的で全面的な物理的強化だからなぁ」
④ヒュラ
「僕の戦い方は、幼い頃からの生活よりむしろ、ケラの影響が大きい。
ケラはネゲント系で強いけど、それは能力や先天的な特性じゃない。
むしろ、気弱で貧弱なくらいだったのを、努力して克服した強さだ」
⑤ケラは戦士の家系で、ヒルと互角に渡り合えるほどの優等生である。
ケラは、ヒュラやネラ、マラルに負けた事が1度もなかった。
ヒュラは、60戦を交え、53敗7引き分け0勝であった。
⑥次の日の給食争奪戦。
ヒュラの対戦相手は、ケラだった。
⑦初め、ケラは単純粗暴な攻撃により、23連勝を簡単に収めていた。
これまでの60戦のうちの45戦で、ヒュラは成す術もなく、半ば肩慣らし状態のケラに敗北していた。
⑧ヒュラは盾を右手に、ケラからの猛烈な連打キックを必死に交わす。
ケラの蹴りが体を掠めただけで、ヒュラは擦り傷だらけになる。
ヒュラ (なんとか距離を保たなければ!)
⑨ケラの蹴りを交わして、ケラの足から1cm以上離れたヒュラの頬は、
(フィールドを纏って損傷が緩和される条件下にあっても)
酷ければ5mm程の深さの切り傷を作る始末である。
⑩ヒュラは重力操作をしなかった。
(重力操作では、ケラの攻撃先を0.2〜0.3mmずらせれば良い方で、即効性に欠ける。)
⑪ケラは正面からヒュラに何度も蹴りを入れる。
ヒュラは、蹴りを盾で受け、体力的な消耗が激しい。
時折り、盾で防ぎ切れずに、風圧とケラのフィールドの圧で、軽い擦り傷やあざを作る。
その隙をつくように、ケラは横から殴りかかったり、背後に回り込んだりと、その都度、攻撃を転換した。
⑫ケラがヒュラを両手で絶え間なく殴り続けた。
ケラ
「才能やセンスでは、きっと私じゃあなたに敵わない。努力も認める」
ヒュラはシールドと盾を併用して、ひたすら防御に徹していた。
⑬ケラが壊れかけのシールドを蹴り破りながら言う。
「けど、あなたに勝機はないわ!」
ヒュラの右脇腹下方に穴が空く。引き
①ヒュラはよろめき退きながらも体勢を保ち、ケラの左拳をなんとか盾で受け止めた。
ケラ
「越えられない壁は、いくらでも存在する。
理不尽や不条理も……。」
②後方へ数m滑り退くヒュラの背後に、ケラが回り込む。
ケラ「現実を自分で変えられるなんて…」
後方から、ケラがヒュラの背後から右手で殴りつける。
③ヒュラは、なんとか直撃を免れたものの、右肩を掠って削られる。
ケラ「ただの理想郷のお話。誰かに思い描かれただけのね!」
ケラが、フィールド強化とステート発動を合わせて、強力な回し蹴りをする。
④ヒュラは60cm程もの厚さの広く硬いシールドで受けた。
この事により、ケラと一瞬の間、ある程度の距離が保たれた。
シールドは、ケラの回し蹴りで大きな亀裂が走り、解除された。
ケラ「そう!ただの空虚な物語だわ!!」
⑤シールドが解除した頃には、ケラは、ヒュラのサテライトによって包囲されていた。
⑥ケラを何重にも包囲したサテライトの最前列が、ケラに放たれた。
サテライトは追尾機能をある程度備えた弾丸である。
⑦ヒュラ 「ただの空虚な物語だって?」




