夜の魔法
私は言葉が出なかった。
人は驚くと声が出ないらしい。
私がメデューサと目があったように固まっていると、
「驚いた、とりあえず座ろう」と声をかけて来た。
落ち着いた少し低い声でゆっくりとした話し方だった。
「大丈夫家族はみんな起きて来ない、
今私が大きな声を出しても聞こえない。」
「聞こえない?どいうことですか?
っていうかあなたは誰ですか?
どうやって入ったの?泥棒じゃないですよね?」
「質問が多すぎる私はメリ、メリークリスマスのメリ、よろしく。」
そう言ってまるで自分の家のソファに座るようにストンと座って、
足を組んだ。
彼女からは甘い香りがした、家族以外の匂いは久しぶりだった。
私はビールの空き缶を机の上に置いてソファに座った。
「今の気持ちはどんな気持ち?」
「今の気持ち?」
「不安?怖い?」
「怖くない、不安もないです。」
人と話す時のあの独特な感じ、エネルギーを使い疲れてしまう、
あの感覚が無かった。
「さっき、あなたから、不安をとったから!」
「不安をとる?え?どういうことですか?」
彼女は昔からの知り合いのような、
はじめて会った感じがしなかった。
「ねえ、赤ちゃんはナイフを向けられても、恐怖を感じないでしょ。
なぜかわかる?」
「えっ?赤ちゃんにナイフを向けたことはないけど、
確かに恐怖は感じない。」
「赤ちゃんに恐怖心はない、成長すると色々な感情を学ぶことになる、
楽しい、美味しい、面白い、恐怖、不安、
でも過剰過ぎる感情は自分の首を絞めることになる。」
私は彼女が何を話したいのかわからなかった。
「理解出来なくて当たり前、地球の人はみんな、生まれてから、
親や学校、国に洗脳されているから私の話は理解出来ない。」
「えっ?あなたは地球の人じゃないの?」
「私は地球人よ、昔は宇宙人だったこともあるかな?」
「えっ?」
私は意味がわからなかった。




