日記
私たちは店に入り、ランチを頼んだ。
まだお昼前だったので、店内は空いている。
私とメリは並んで座り、男の子は私の向かいに座った。
周りから見たら、私たちはどんな関係に見えるのだろう。
そんなことをぼんやり考えていた。
三人とも、店長おすすめのサンドイッチセットを注文した。
私はホットティー、メリと男の子はコーヒーを頼んだ。
メリは水を一口飲み、にっこり笑った。
「さて、こちらは春斗くん。
ふゆさんと同じで、向こうの世界では生きづらさを感じていたから、
フェリーナに連れてきたの。
春斗くん、こちらはふゆさん。
同じように生きづらさを抱えていたの。きっと話が合うと思うよ」
私は内心あわてた。
この若い男の子と話が合うわけない。
もう何年も家族以外と話していないのに。
何を話すの? 共通の話題なんてある?
「はじめまして、中村春斗です……」
春斗くんは、もじもじしながら挨拶をした。
背は高く、180センチ近くありそうだ。顔は小さく、肌は白い。
どこか気の弱そうな、大人しい雰囲気をまとっている。
学生の頃、クラスにうまく馴染めなかったのではないか・・・
そんな印象を受けた。
でも、よく見ると目は大きく、鼻筋も通っていて、整った顔立ちをしている。
私は久しぶりに見る“家族以外の男の子”を、ついじっと見つめてしまっていた。
「ふゆさん、見すぎ! 春斗くんが怖がってるよ」
「あっ、ごめん! 家族以外の人を見るのが久しぶりで、つい……」
恥ずかしくなって、私は下を向いた。
ちょうどそのとき、コーヒーと紅茶が運ばれてきた。
私は紅茶を一口飲み、気持ちを落ち着かせる。
「さて、これからのことを話すね」
メリはそう言って、茶色の小さなノートを二冊取り出した。
一冊ずつ、私と春斗くんの前に置く。
「これはなに?」
「これから二人には、毎日このノートに日記を書いてもらいたいの」
「日記? 」




