いよいよ、フェリーナへ
「ふゆさん、軽くなったから。来週で大丈夫だよ」
「えっ、急に緊張してきた……でも、うれしい!」
「何も変わらないよ。今の生活のまま、世界が変わるだけ」
世界が変わるって大きな変化だよね・・・
「フェリーナで、私は何をしたらいいの?
何か、メリのお手伝いをするんでしょ?」
「そうなの。その話をしに来たの」
メリは私の目を見た。
私は、目をそらすことができなかった。
「フェリーナに行ってから、ふゆさんにやってほしいことがあるの」
「なに? なんでもやるよ!」
「祈ってほしいの」
「祈り? なにを祈るの?」
「たぶん、ふゆさんが考えている祈りと、私の祈りは違うと思う」
「違う祈り?」
「祈りってね、本来は軽いエネルギーなの。
たとえば、『大金をください』とか、『仕事で成功したい』とか、
『幸せにしてください』っていう祈りは、重たいでしょ?
そうじゃない祈りをお願いしたいの」
「そうじゃない祈り?」
「ただ、みんなが楽しそうに笑っているところをイメージするの。
具体的に、何が楽しかったのかは知らなくていい。
笑顔の人は、みんな波動が軽いでしょ?
怒っているのに、心から笑っている人はいないじゃない」
「えっ……祈りって、
ただ、みんなの笑顔を想像するだけでいいの?」
「そうよ。『みんなの笑顔』っていうのが大事なの。
みんな自分だけ幸せならいい、
自分の家族、知人だけ幸せならと思うけど、
それだと気持ちが入りすぎて重くなる。
とにかく、軽く、軽くを心がけて」
「軽く、軽く……」
「誰もいない部屋で、
まずは、このマンションに住んでいる人たちの笑顔を祈る。
次に、この市住んでいる人たちの笑顔。
次は、この県に住んでいる人たちの笑顔。
そして、日本に住んでいる人みんなの笑顔。
最後に、地球に住んでいる、みんなの笑顔。
そうやって、広げていってほしいの!
古来から、日本には祈りのパワーがあるって言われているのよ」
メリはキラキラしながら話していた。
「フェリーナに行ったら、毎日1回か2回、祈ってほしい。
1回10分くらいでいいから。がんばって」
「わかった!! それなら、できそう!」
「来週また来るから、練習しておいてね〜」
そう言うと、メリはさっと立ち上がり、ベランダから帰っていった。
「祈り、か……」
祈ったことなんてないけど、
練習してみよう。私はその日から、
子どもが学校へ行ったあと、祈りの練習を始めた。
そして、いよいよ――
フェリーナへ行く日が、やってきた。




