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引き寄せ

次にメリが来たのは、1か月が過ぎてからだった。


「こんばんは〜」


メリは、行きつけの居酒屋に入るような気軽さで入ってきた。


季節は変わり、そろそろ秋。


夜は薄い上着が必要な季節で、風の香りも変わってきた。


メリを待つのをやめていた私は、冷静に彼女を迎えることができた。


「こんばんは。久しぶりだね」


私が言うと、


「ふゆさん、変わったね。表情が軽くなったよ」


「そう? ありがとう。軽い波動で、顔も変わるのね、

 メリは忙しいの?」


「最近は、やっと落ち着いてきたところ」


「ねえ、私のほかにもフェリーナに行く人、いるんでしょ?」


「そうよ」


「私は、その人と会えないの?」


「う〜ん、今は会えない。あっちに行ってから紹介するね」


「そうなんだ、残念」


「まだ、お互いの波動が完全に軽くなってないの。

 波動はね、重い人と会うと、せっかく軽くなったものが、また重くなるの。

 波動はうつるから」


「波動って、うつるの?」


「愚痴ばかりの人と一緒にいると、重いって感じるでしょ。

 愚痴ばかりの人は、愚痴が好きだから、

 自分で愚痴を言える状況を引き寄せているの。

『なんで?』って思うことも、自分が望んで引き寄せているのよ。

 でも、本人は絶対に認めないけどね」


「なるほど……それは、わかる気がする。

 それより、今日はフェリーナに行く日が決まったの?」


「うん、だいたい決まった」


そう言って、メリはいつもの席に座った。


「温かいお茶、飲む?」


「緑茶?」


「緑茶あるよ」


「それお願い。人に入れてもらったお茶って、おいしいわよね」


私はガラスの急須に茶葉を入れ、お湯を注いだ。


普段はトイレが近くなるので、夜に緑茶は飲まない。


でも今日は、私の分の緑茶も注いだ。


桜の描いてある湯呑みを2つ、トレイに乗せてリビングへ運ぶ。


「はい、どうぞ」


メリの前に湯呑みを置くと、


「ありがとう」


メリは両手で湯呑みを包み、熱さを確かめているようだった。


「それで、いつなの?」


「来週にしようと思う。来週の火曜日」


「来週!? 来月かと思ってた」


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