おかえりメリ
私は、また暑いベランダで1人でビールを飲んでいた。
ここは、私がいた元の世界。
そして私は、また外に出られない日々を過ごしている。
ひとりの時間が好き。
私は、自分でこの世界を選んでいる。
外の世界には何もない。
だから出られない状況をつくり、
「出ない」という現実を、自分でつくり上げている。
メリは言っていた。
私が「闇の世界」にエネルギーを注いでいる、と。
確かに、不安が大きくなる時があった。
「闇にエネルギーを注ぐ……」
私は、声に出して言ってみた。
「そうだよ、闇にエネルギー注ぎすぎ」
ベランダの端から声がした、
声のする方を見るとそこにはベージュのフワッとしたワンピースを着た、
メリが立っていた。
「ええええっ!!」
「メリ? 生きてたの?よかった!!」
私は立ち上がりメリの手を握った。
「そりゃ生きてるよ! あのあと大変だったんだから」
「ふゆさんを元の世界に送って、私はあの世界の“闇抜き”をしたの」
「闇抜き?」
「ふゆさんが闇にエネルギーを注いだから闇の世界が大きくなったの。
グレーの布に黒いシミができても、たいして気にならない。
でも、真っ白な布に黒いシミができたら、とても目立つでしょ?
あの世界はまだ不安定だから、
闇にエネルギーを注ぐと、世界が崩れてしまうの。」
「そうなんだ・・・ごめんなさい」
「闇の世界が悪いわけじゃない。
ただ、そこにエネルギーを注いで大きくしないこと。
闇と光のバランスが取れた世界――それが、私の目指す“真の世界”なのよ」
「真の世界……アニメ見たい」
「そうかもしれないけど、これは現実。ふゆさんの知っている世界のほうが、
私から見たらアニメみたいだけどね、
みんな洗脳された常識の中右往左往していて」
「それで、また私をメリの世界に連れて行ってくれるの?」
「もちろん。でも、少し練習してからね」
「練習? どうやって?」
「ネガティブにエネルギーを注がない練習」
「そんなこと、できるの?」
「まずは“意識する練習”から。自分の感情を観察して、
ネガティブにエネルギーを注いでいる自分に気づくこと。
それがスタートだよ」




