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間違った思い込み

自分の気持ちがわからない。


結婚してからは修を優先した生き方。


子どもが生まれてからは、子ども優先の生き方。


気がつけば、「私」はどこにもいなくなっていた。


自分と向き合うのが面倒だった。


もしかしたら、自分から逃げていたのかもしれない。


外に出たい、普通の暮らしがしたい。


あんなに強く願っていたのに、実際に外で働いても、心は満たされなかった。


答えは、外にはなかった。


じゃあ、自分の心を満足させるには、私はどうしたらいいのだろう。


「大丈夫?」


メリが静かに聞いてきた。


「あ、うん。大丈夫」


「ねえ、時々ない?

 この光景、前にも見たことがある、とか。

 この場面、どこかで経験した気がする、とかない?」


「ある!あります!

 夢で見たような、ずっと昔に知っていたような、不思議な感覚」


「それそれ、それは本当に経験しているんだよ。

 異世界での記憶が、少し残っているだけ」


「異世界……」


そのときの私は、異世界なんて正直どうでもよかった。


外に出られるようになれば、普通の生活ができれば、


不安も迷いも消えて、心は満たされる。


私はずっとそう思い込んでいた。


でも、現実は違った。


私が「普通」だと思っていた道は、私にとっては間違った道だったらしい。


それを、私はまだ受け入れきれていなかった。


「とりあえず、帰ろう」


メリはそう言って、左手を差し出した。


気がつくと、私は元の世界に戻っていた。


ハーブティーを飲んだマグカップが、テーブルの上にそのまま置いてある。


それが、ずいぶん遠い昔の出来事のように感じた。


キッチンへ行くと、きれいに片づいている。


部屋も整っていた。


私は冷蔵庫からルイボスティーを出しコップを二つ用意した。


「ルイボスティー、飲む?」


メリは、声を出さずにうなずいた。


テーブルにコップを置き、私は静かに話し始めた。


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