新たな世界
昼間の明るいリビングから、昨晩の夜のリビングに戻って来た。
テーブルの上のビールの缶もそのままだった。
「時間が止まっていたの?」
「違う世界線にいただけ。そしてまた同じ時間に戻って来たの!」
現実とは思えないセリフ・・・
メリはソファじゃなくて、ダイニングテーブルのさっきと同じ椅子に座った。
「時間はたっぷりある。ゆっくり話すね。
今のここの世界はふゆさんが作った世界。
さっきの世界は私が作った世界。」
「えっ?」
私もさっきと同じメリの前の椅子に座った。
「私が作った世界って言うけど、作ってないよ。
私が外に出られない窮屈な世界を自分で作ったって言うの?それはない。」
「でもそれが現実なのよ!自分で選んだ世界が現実となってそこでみんな暮らし
ているのよ、どんなに悲惨な世界でも自分の選択の結果なのよ」
私は納得できなかった。
こんなに長い間悩んでいるのに、自分で選択したなんてうそだ。
「じゃあ試しに世界を一つ作ってみる?」
「そんな簡単に世界ってできるの?」
「どんな世界がいいかな?」
メリが悩んでいる、
その時にソファに置いてある茶色の犬のぬいぐるみが目に入った。
「どんな世界でもいいの?じゃあ、ぬいぐるみが話す世界とか?」
「いいよ!どんなぬいぐみ?」
「えっ?できるの?」
「まかせて!ふゆのベッドに置いてあるぬいぐるみでいい?」
なんで知ってるの?と思ったけど、聞かなかった。
「はい、見て!」
メリは左の手のひらを出した。
「そんなすぐにできるの?
私もこうやって世界を作るの?この渦の中に世界があるの?」
「そう。渦じゃなくてもいいけど、
私が作ると渦になってしまうの。とにかく早く見て!」
「わ、わかった」
渦を見ているとめまいがした。このめまい、
きっと何回やっても慣れないやつだな…。
私は強く目を閉じた。周りの空気が変わり、
目を開けると、そこは我が家のリビングだった。さっきと同じリビングだけど、
メリはいなくて、外も明るい。
「ここがぬいぐるみの世界?」
振り向くと、
中学生の時に父が東京のお土産に買ってくれた、
高さが30cmくらいの茶色いうさぎのぬいぐるみが立っていた。
「こんにちは。」
うさぎのぬいぐるみが話した!




