望んだ世界の現実
「わかりました、まずはあなたは誰ですか?」
「私はメリ、メリークリスマスのメリ。
昨日も言ったよね。
私は大阪で生まれた普通の人間。
人と違うところは、自由に世界を作れるところ。」
「世界を作る?
でもでもその前にいいですか?なんで私のこと知ってるんですか?」
「ふゆさんのことを知ったのは偶然なの。SNSで記事を書いてるでしょ?」
「暇つぶしに時々書いてるあの記事から?えっ?身バレしたってことですか?」
「それとは違う。私は勘がいいの。
そんなことより、世界の作り方の説明が長くなるから話すね。」
うまくはぐらかされた気がした。
それからメリは世界の作り方を熱心に話した。
正直、メリの話はよく理解できなかった。
簡単に言うと、**「想像するだけでその世界ができる」**らしい。
もちろん、
簡単にはできないけれど、練習すれば誰でもできるようになるという。
メリはその方法を自分で見つけたらしい。
「じゃあ、今この世界もメ、メリが作ったの?」
知り合ったばかりの人を名前に呼ぶにの抵抗があった。
「そうよ。」
得意げな表情で彼女は答えた。
「で?どうする?ここで暮らす?」
「え?このままこの世界で暮らせるの?」
「もちろん」
メリは紅茶をひと口飲み、私の目を見つめた。
「この世界は満足だったの?」
「満足?」
「だって、“家事を分担してみんなでやりたい”って書いたでしょ?
“外にも出たい”って書いたじゃない。」
確かにつぶやきを書いた。 でも、何かが違っていた。
「確かに家事をやってもらいたかった。
でも今日は、自分の居場所がないと思った。
私はいつもキッチンにいて、キッチンが私の居場所だった、
そこに家族が入ってきたら、私はどこに行けばいいのかわからなかった。
外にも出れたけど、今は外に出ても行きたい場所はない。
私は何を求めて、何を探していたのかな……。」
メリはマグカップを机に置いて、
まっすぐに私を見た、彼女の黒い大きな瞳は不思議な力があるように感じた、
まるで吸い込まれて2度と出てこれなくなるような怖さのようなものを感じた。
「今の辛さから逃げたい気持ちはわかる。でもその辛さにも意味がある。
“辛いから逃げる”じゃなくて、
“なぜこの辛さを経験しているのか”を考えないと、解決はしないんだよ。」
返す言葉が見つからなかった。
メリの言うことは、その通りだと思った。
「責めるつもりはなかったの。ごめんなさい。」
「いいの。その通りだなって思ったから……。」
メリは立ち上がった、
「ねえ、とりあえず元の世界に帰る?」
私はこの世界で暮らすことは出来ないと心の中で決めていた。
「そうします。」




