ep6 三浦龍作VS田沼狼鬼
マリオネットによって、半ば無理やり三浦の近くに手繰り寄せられた田沼は、されど不敵な笑みを浮かべる。
刹那、
彼は、小石のような物体を三浦へぶつけた。
「ぐおッ!?」
三浦は腕にしか身体改造用ギアを装着していない。そのため、寸のところで腕にその小石を直撃させるが、まだギアに慣れていないため、腕がヒリヒリ……と痛んだ。
「大丈夫ですかっ!?」
「良いから下がっていろ!! コイツは〝コイルガン〟のスキルを持っているんだ! 下がっていねぇと流れ弾くらうぞ!」
伊東が心配して三浦の元に駆け寄ろうとするが、彼は流れ弾の危険性を鑑みて伊東をマリオネットの糸で後ろへ下がらせた。
そうして、数メートル離れたところにて、三浦と主人公の仲間田沼狼鬼の相対が始まる。
「おうおう、良くもおれらの隠し武器を奪ってくれたな。しかも素粒子ドローンまで壊しやがって。ムカつく野郎だぜ」
腕にコイルの跡が残る三浦は、それでもニヤッと笑う。
「壊されて見つけられるほうが悪いに決まっているだろ。なぁ、田沼狼鬼」
田沼はやや面食らった面持ちになった。「なんでおれの名前を知ってンだよ?」
「残念なことに、教える義理はねぇんだな」
「あぁ、そうかよ……!!」
田沼のスキルは要するに、『電磁石を操る』ものだ。レールガンのように派手ではないが、彼の操るコイルの速度は電磁砲並みの速度を出すこともできる。
対して三浦のスキルはふたつあり、当然弱点と利点があるわけだが、サイコキネシスとマリオネットは弱点同士を補うことができる。だから三浦は、このふたつのスキルをインストールできるデバイスを選んだわけである。
そして、田沼は10個以上のコイルを浮かせて、三浦へ向けて発射した。凄まじい速度とともに、それは三浦の胴体を粉々に粉砕すべくまっすぐ飛んできた。
だが、三浦も無策で闘うわけではない。彼は田沼のスキルの利点も弱点も知っている。その弱点のひとつをつくのだった。
「おい、田沼狼鬼。オマエのコイルガンは確かに速ぇ。でも、致命的な弱点があるよな?」
瞬間、田沼のコイルガンは金縛りにあったかのように停止した。
田沼は間の抜けた表情になるが、ならば磁石の数を増やせば良いと無数のコイルを空に浮かせた。その直後、三浦に向けて数十発に及ぶ磁石を放つ。
だが、三浦はこの瞬間を待っていたと言わんばかりに、目を見開いて口角を上げた。
「オマエのコイルガンは、発射するところまでは自在に操れる。しかし言い換えれば、発射された後はコントロールできないんだよな?」
三浦はそのコイルにサイコキネシスで干渉を仕掛ける。コンマ単位の勝負だが、主人公たちの持っていたデバイスはとても優秀であるため、難なくコイルを逆方向━━田沼のほうへ向けて返してやった。
これに驚くのは、当然田沼狼鬼だ。敵に向かって放ったはずの弾丸が、自分のほうに向かってくる。彼は超高速で動く磁石を交わしきれず、身体に大量のコイルがねじり込まれた。
「ぐおぉぉおおお!?」
田沼は胴体部分と腕を改造してあるが、これだけの攻撃をくらってしまえば当然ダメージも入る。彼は悲鳴を張り上げながら、怒涛の勢いでくらったコイルガンに大量の血が付着しているのを見た。
「はぁ、はぁ……!! クソがァ!!」
それでも田沼は倒れない。いや、身体改造のおかげでなんとか立っていられる、といった感じだった。当然、こんな状態でまともな冷静さを保てるわけもなく、彼は三浦に向かって、改造もされていない脚で、間合いを詰めるべく走り出した。
三浦はその場に立ったまま、田沼が迫ってくるのを待つ。
そして、
「バーカ」
彼は田沼をマリオネットの糸で縛り、まるで蜘蛛の糸に縛られたかのように動けなくなった敵に向かって、身体改造済みの拳をぶつけるのだった。




