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サイバーパンク2021-そのモブキャラ(?)は糸と念力を操る-  作者: 東山スバル
第1幕 『退屈な日々にさようならを』

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ep4 貴方を放っておけない

 伊東萌葉の言う通り、このふ頭は立入禁止区域だ。だからこそ、主人公たちが武器等を隠していた。しかし器物破損? ……いや、ヒューマノイドにはないのか。〝人権〟が。

 そこまで踏まえ、三浦は言う。


「その心意気だけは褒めてやるよ。でもな、勝てない相手に挑むのは体の良い自殺だぞ?」


 彼女は原作に出てこない、モブキャラクター。であれば、能力・身体改造ともに所持していないはず。それを踏まえた上で、今ギアやデバイスを手に入れた三浦に挑もうとしているのだ。


 されど、伊東萌葉は一歩も引かない。よほど正義感が強いのだろう。そして、いくらデバイスとギアの所為で〝正気度〟が弱まっている三浦も、いちいち人殺しなんてしたくない。


「それでも、それでも……!! 私はこの街を守らないといけない!! ピースキーパーになってから、もう命なんて捨ててるようなものだから!!」

「なるほど。犬死にして街を守るってわけだ。そういう馬鹿、嫌いじゃないぜ」


 皮肉交じりだが、実際三浦はそう思っていた。『サイバーパンク2021』の世界は腐り果てていて、警察機関は民営化され、実質お偉方のボディーガードに当たっている。この世界を支配する大企業〝創麗グループ〟が立ち上げた治安維持組織〝ピースキーパー〟もまた、自分のためにしか動かない連中ばかり。

 そんな腐り果てた世の中に来てしまったからこそ、三浦龍作の目には伊東萌葉の正義感が輝かしく見えた。


「しかし、オマエになにができる? どうせなんの力もないはずだ。女性用のチープピストルでおれを無力化できるなんて、思っちゃいないよな?」

「……っ」

「でもまぁ、その心意気は結構好きだぞ。さっきも言ったけどな。権力に巻かれる卑怯者や、能力とかを使ってなんの罪もない連中を殺しまくる連中より、よほど美しいと思うね」暗闇の中、三浦は手を広げる。「だいたい、おれのやったことは犯罪かもしれんけど、被害は最小限だろう? テロ組織の武器を奪って、それにキレた連中が派遣してきたヒューマノイドを壊した。仮におれを逮捕できたところで、逆に司法取引してシャバに戻って来るんじゃねぇの?」


 さぁ、どう出る? 伊東萌葉。三浦の言ったことは事実である以上、必死になって逮捕する理由もない。


「…………。ひとつだけ質問させてください」

「良いよ」

「貴方の目的はなんですか?」

「目的、ねぇ」三浦は苦笑いを浮かべる。「今のところはなにもないさ。この世界を滅ぼしたいとか、絶対的な存在になりたいとか、そういうのは全くない。ベイサイド・シティや日本、果てには世界を滅ぼしたところで、インフラがなくなるだけだしな。絶対的な存在になってみても、おれが病気かなにかで死んだら、また無秩序な世の中がやってくる。だからまぁ、今のところは生き残りたいだけさ」


 伊東萌葉は、点灯と消滅を繰り返す電灯が明るくなった際、唇を尖らせて目を細めた。


「ま、分かったらおれはヤサ探しに行くから、きょうはもう帰りな。おれを本気で逮捕したいのなら、ピースキーパーの上澄みに連絡しても良いけども」


 結局、伊東萌葉は押し黙ってうつむくしかなかった。三浦は彼女の横を通り過ぎ、ヤサ━━隠れ家を探すべく行く宛のない道を歩くことにしたが、


「待ってください!」


 突然、伊東萌葉が三浦を静止した。


「私は貴方を放っておけません。そんな寂しそうな目をしたヒトを無視するなんて〝正義〟が泣きますから」


 伊東萌葉は、良く意味の分からないことを言い始めた。


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― 新着の感想 ―
サイバーパンクの世界観、面白いですね!どんな原作だったのかがすぐに想像できるような、素晴らしい作り込みだと思いました。 主人公が原作の読者だというのも、ここからの冒険を面白くする要素になりそうですね、…
Xの方から伺わせていただきました! このタイトルだとどうしても「サイバーパンク2.0.2.0」とか「サイバーパンク2077」とか「サイバーパンクRED」とか「サイバーパンク エッジランナーズ」とか、…
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