ep16 主人公に成り上がれ
「やっぱり禿げやがったか、クソ野郎……!!」
邪気溢れる笑みを浮かべていた三浦だが、家森が倒れるのを見るやいなやその場にへたり込み倒れるのだった。
*
昼の13時、三浦龍作はまたもや病院内で目を覚ました。天井を見る限り、この前の場所とは違うようだ。まぁ、ヘリコプターの所為で壊されたから当然か。
傍らには、さも当然のように伊東萌葉がいた。彼女は三浦が目を覚ました途端、彼の手を握り、やや涙目になりながら、
「良かった……ホントに生きてて良かった……」
と呟く。
三浦はそんな伊東の手を強く握り、切り返す。
「この程度で死んでいたら、おれは〝主人公〟になれねぇよ」
「主人公……?」
「あぁ。決めたんだ。この世界に創作者とやらがいるのなら、ソイツの考えた枠組みをぶっ壊してやるって」
当然ながら、三浦はこの世界が造り物であることを知っている。そして、主人公の存在も。
しかし、三浦はただのモブキャラで終わるつもりは、毛頭ない。生き残りを図るところから、主役に成り上がってやろうと決意を決めたのだ。
そんな三浦の隣には、重症を負った━━ただし『サイバーパンク2021』の医療技術であっさり意識を取り戻した御島義隆がいた。
「……主役になる、ねぇ。かっけぇこと言うじゃない」
御島はそう言い、ニヒルな笑みを浮かべる。
「そうでもならねぇと、おれは萌葉ひとりも守れねぇ」
「なるほど、このメガネっ子に惚れているわけだ」
「……、」しばし三浦は押し黙る。「あぁ、萌葉がおれをどう思っているか知らないけど、おれは萌葉のことが好きだ」
その言葉を聞いた伊東萌葉は、顔を真っ赤に染め上げる。
「す、す、好き!? こんな私のことを!? 実力もなければ、別に可愛くもない私を!?」
三浦はフッと笑った。
「それでも萌葉には根性があるだろ? 絶対敵わない相手でも挑みに行く姿、大好きだぜ」
というわけで事実上の告白を果たした後、萌葉はしばらく黙り込み、やがて三浦とキスをした。
数秒間続いた接吻に、御島は思わず苦笑いする。
「相思相愛だな、おい」
唇を離された三浦は、
「うるせぇよ」
と照れながら言うのだった。
*
スターリング・ファミリー傘下家森セキュリティ、事実上の崩壊状態。
その報せを聞いたスターリング・ファミリーのドンは、首をガクッと落とす。
「おいおい、あの家森と鈴江が殺られたのか?」
「へい……。部下はピースキーパーに殺られたようですが、鈴江と家森は三浦龍作に殺されたものかと」
ドンは溜め息をつき、少し気分を落ち着かせるために葉巻をくわえる。
「……仕方ねぇ。こんな手は使いたくないが、三浦龍作に懸賞金を懸けろ。生け捕りで20億円、殺して持ってきたら10億円だな」
「承知しました……」
部下が去っていく中、ドンは執務室に入ってきた近藤アキラ━━ヤクザの若頭に値する男近藤アキラと面会する。
「二代目……いや、伊東総長。やはり総長の姉は三浦龍作と協力しているようですが」
「だろうな……、姉はそういう女だ。たとえ血を分けた姉弟だとしても、悪党は決して許さないのさ」
「では、伊東萌葉も始末するのですか?」
「…………、とりあえず泳がせておけ。姉はたいした能力も持っていなければ、身体改造もしていない。それよりも、三浦龍作とピースキーパー第1部隊隊長御島を始末するほうが先だろ?」
「承知しました」
執務室から近藤が去っていき、伊東若葉は深い溜め息をつく。
「もう余計なことをしないでよ、お姉ちゃん。僕だって、お姉ちゃんを殺したくないんだ」
スターリング・ファミリー二代目総帥、伊東萌葉の実の弟、伊東若葉はそうぼやくしかなかった。
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