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サイバーパンク2021-そのモブキャラ(?)は糸と念力を操る-  作者: 東山スバル
第1幕 『退屈な日々にさようならを』

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ep14 この世界でもっとも恐ろしい力

(コイツの能力は〝ブラック・ホール〟で、身体改造を全身に施している。ブラック・ホールは、触れたものを一時的に痛みこそないけど一時的にもぎ取り、仮に全身に能力を当てられれば身体が消滅して死に至る。なら━━!!)


 無数の黒い球が三浦龍作に向かって来る。さほど速度は速くないが、それはあくまでも銃弾などと比べたときの話。なので、ギリギリ見える程度の速度で迫ってきていた。


 であれば、サイコキネシスの出番だ。三浦の能力のひとつは〝魂〟のこもっていないものを自在に操れる。それは、相手の起こした能力も例外ではない。


 それに加え、シア・ハート・アタック━━通称〝SHA〟を打たれた三浦なら、この数え切れない黒球もさばけるはずだ。彼は目を閉じて念じ、ブラック・ホールを空中で溶かすのだった。


「なるほど。SHAを打っているな?」

「だとしたら、オマエは負けるのかい?」

「いいや、戦法を変えるだけだよ……!!」


 *


 伊東と御島は、サイコキネシスを使ってどこかへ飛んでいった三浦を追いかけていた。伊東は全く身体を改造していないが、御島は全身を改造している上に〝スカイ・ウォーク〟という能力も所持している。スカイ・ウォークは鳥のように自在に空を飛べるため、伊東は御島に捕まりながら三浦を探す。


「三浦さん、負けませんよね……?」

「さっきも言っただろ。アイツはゲーム・チェンジャーだ。いくらでも戦局をひっくり返せる、この世界でもっとも恐ろしい力を持っている」御島はえぐれたアスファルトを指差す。「ほら見ろ。あそこに鈴江猟虎の仏が転がっているだろう?」


 すでにスターリング・ファミリーを追撃するため、ピースキーパーのほとんどは出払っている。なので、実質的にこの場には、三浦と伊東と御島、そして最大の敵である家森がいるだけだった。


「ほ、ホントだ」

「だが、三浦と家森がいないな。空中にもいないということは、おそらく……」


 瞬間、

 バリバリバリ……と奇妙な音が聴こえた。なにかが衝突している、と推測するには充分な音であった。


「あそこだ、伊東」


 御島は鈴江の遺体が転がる場所の、数百メートル先を指差した。


「あ、あれは……」

「あぁ、身体改造者同士が〝オーバーヒート〟を起こしながら闘っているな」


 身体改造にもレベルというものがある。その中でも高位な改造をしてある者たちが殴り合ったら、オーバーヒートと呼ばれる、周りに衝撃波を与えるほどの威力が生じるのだ。


「それってつまり━━」

「間違いなく、三浦龍作と家森球太の殴り合いだな。伊東、オマエは少し離れた位置にいろ。おれが加勢してくる」

「えっ?」

「身体改造もしていないオマエに、近接戦での闘いはできない。しかし、オマエの力は必ず役立つ。分かったら、一旦地上に降りるぞ」


 *


 無様に倒れ込み、今にも頭を踏み潰されかけている青年がいた。周辺の摩天楼のガラスや壁は無惨に破壊され、車やバイク等に至っては遥か彼方へと吹き飛ばされている。


「SHAでオーバーヒートを操ってみせたようだが、粗末なものだったな。まぁ、それも仕方ねぇか。オマエは右腕のみで闘わざるを得なかったわけだしな……!!」


 結果は一目瞭然であった。少しだけ口から血を流す家森と、仰向けになりながら倒れ込む三浦という構図である。


「さて、脳に埋め込まれた能力を取り戻そうかね。大丈夫、どうせ死ぬんだ。痛みなんて一瞬さ」


 そう言い放ち、家森は三浦の頭に向かって足を振り落とそうとした。


 そのとき、


 まるでブルドーザーが突撃してきたかのように、家森は摩天楼の壁にぶつかってそこにめり込んだ。


「オマエ、格好つけすぎ。それともなにか? まさか勝った気でいたんですか?」


 御島義隆は、わざとらしく手を広げて彼を愚弄した。


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