ep13 大ボス登場
「ま、待ってください━━!!」
三浦を静止しようと声を張り上げた伊東の肩に、御島は手を置いて止める。
「大丈夫だ。おれらも援護に入るし、なにより……アイツは〝ゲーム・チェンジャー〟だ。くだらない負けなんて、いくらでもひっくり返してくれる」
*
鈴江はヒトを探知する能力を持たない。対して三浦は、先ほど打たれた〝シア・ハート・アタック〟の影響か、ヒトの魂を探知できるようになっていた。
そのため、三浦は鈴江が通りそうな道へ、地面に落ちていたライフルや手りゅう弾、果てにはロケット・ランチャーを建物の上階に設置する。マリオネットを使い、探知した瞬間に糸で鈴江猟虎を撃ち殺そう……という考えだった。
三浦は物陰に隠れ、鈴江が通るのを待つ。息を潜め、ただじっくりと待っていた。
(来たッ!)
ヒトの気配を感じ取り、三浦はまずライフルの引き金につけていた糸を引っ張った。怒涛の勢いで銃弾が放たれるものの、相手も歴戦の猛者。改造してある腕で弾を無理やりガードした。
「……一体なにが」
鈴江がそう呟いた頃、三浦は手りゅう弾を引っ張って彼女の目の前へ落とす。ポトッと、と落ちた爆弾は、破片を撒き散らしながら爆発した。
しかし、鈴江は無傷だった。
それもそのはず。なんと彼女は、オート・エイムを使って手りゅう弾を撃ったのだ。ピンを抜かれてから数秒間、爆破するまでタイム・ラグがあるとはいえ、さすがの神業だった。
「……マトが生きてる?」
鈴江が疑念を覚え、かなり警戒気味に走り出した頃、
三浦はとっておきの切り札、ロケット・ランチャーの引き金を引いた。
四方八方から迫ってくるロケット弾。地面はえぐれ、爆発音が響き渡り、近くにあった車が誘爆し、三浦は物陰から姿を現す。
「よう」
すでに死体となっていた鈴江を軽く蹴り、三浦はフーっと溜め息をつく。
「おれ、いつの間にかこの世界に染まっちまっているな」
思えば、身体改造と能力発現装置を手にしたときから、だいぶ性格が変わった気がする。やはり原作で書かれていた通り、それらは人格の骨格すらも変えてしまうのだろうか。
だが、そういう疑念を抱いている暇がないのも事実だった。なぜならば、三浦の後ろから車が迫ってきているからだ。
「大ボス登場ってわけかい……」
三浦はニヤリと笑って振り返り、最後に残っていたロケット・ランチャーの弾を車に放つ。
その弾丸の威力で、ワンボックスカーがすっかり粉々に粉砕された頃、三浦は手応えのなさを覚えていた。
「おい、ウチの鈴江を殺しやがったのって……オマエ?」
オールバックでツリ目、整った顔立ちに三浦よりはるかに高い身長、黒いスーツを着ている。
そんな〝大ボス〟家森球太は、眉間にシワを寄せていた。
「そうだとしたら?」
「そうだとしたら、か。質問に質問で返すが、どうなると思う?」
「あぁ、アンタはブチギレて禿げるだろうな」
「残念。不正解だ、クソガキ。今から答えを教えてやる」
刹那、
かろうじて目で捉えられる速度の球体が、まるでブラック・ホールのような球が、三浦に向かって放たれた。それが三浦に直撃した。
痛みはないものの、さながら自分がプラモデルかフィギュアになったかのように、左腕が取れてしまったのだ。
「あぁ、少し照準がズレてしまったようだな。本当は頭をもぎ取ってやろうと思ったんだが」
家森球太は、数え切れないほどのブラック・ホールみたいな球体を背後に出現させた。




