ep11 不安な朝
ニヤッと口角を上げ、三浦は粉々になった窓ガラスを踏みながら、サイコキネシスを用いて空へ舞った。
「ま、待ってください━━!!」
大穴が空いた病室より、三浦は飛び立ってしまった。まだ煙が舞っていて、萌葉はゲホゲホと咳き込むも、無線機を使ってピースキーパーの応援を呼ぶことにした。
三浦が飛び立った先には、戦闘ヘリコプター〝ビッグ・イーグル〟がホバリングしていた。どうやらこのヘリからロケットを放ったらしい。
ビッグ・イーグルは創麗の兵器のひとつで、並みの戦闘ヘリコプターよりよほど巨大だ。6枚の羽がついていて、コクピットにはそもそもヒトが乗っていない。つまり、原作で見た通り自動操縦である。
「さぁーて」
三浦龍作の能力サイコキネシスは、意思や魂が宿っていないものを自在に操れる。しかも自身にサイコキネシスをかけることで、空中浮遊も可能だ。
三浦はバルカン砲を放ちまくるビッグ・イーグルの弾をすべて地上へ落下させ、少しずつ距離を詰めていく。
そして、
無人コクピットに接近し、身体改造済みの腕でヘリの操縦能力を奪うべく、基盤を破壊するのだった。
ピピピ……、と警報を鳴らしながら、ビッグ・イーグルは落下していく。三浦がいた病室は4階なので、落下すれば下にいる家森の部下どももただでは済まない。その証拠に、彼らは慌てて避難し始めていた。
「反社会的勢力が持っていて良い代物じゃねぇだろ、これ」
そう呟き、三浦はまたもやサイコキネシスを使い、あえてヘリコプターを地上に展開されていたスターリング・ファミリー構成員の元へ落とした。
「うぉおおおおお!?」
「ぎゃぁあああああ!!」
この世のものとは思えない悲鳴がこだまし、ヘリが落下した頃、三浦は燃え盛る地上に立つ。
されど、展開されていた兵隊はまだだいぶ残っているようだった。三浦は溜め息をつき、
「数は力に直結するねぇ……」
そうぼやく。連中はアサルトライフルやらショットガンを持ち、(いきなりビッグ・イーグルが撃墜されるイレギュラーがあったとはいえ)臨戦態勢に入った。
そのとき、
消防車がやってきた。それに加えて大量の装甲車も。おそらくピースキーパーの増援であろう。三浦は少し安堵する。
「クソッ!! ピースキーパーだァ!!」
下部構成員が声を張り上げた頃には、ピースキーパーによる一斉射撃が始まった。スターリング・ファミリーの連中が次々と倒れていく。
しかし、スターリング・ファミリーも負けていない。装甲車にはロケット・ランチャーを撃ち込んで破壊し、降りてきたピースキーパー隊員にも応戦する。
明け方のベイサイド・シティで、大銃撃戦が起こる中、三浦龍作はスターリング・ファミリーを指揮する男━━家森球太を探す。サイコキネシスやマリオネット、身体改造では探知できないので、三浦は流れ弾をバリアで防ぎながら、おそらく後ろ側にいるはずの家森の元へ駆け抜けていく。
そんな中、
到底人間の扱える代物ではない超大型ライフルを構え、直撃すれば最新の戦車すら一撃で破壊するという弾丸を使う武器で三浦を狙撃しかけている者がいた。
「さて、仕事をしますか……」
冷静な口調で、その女は全長2メートルに及ぶライフルを使い、屋上から三浦を狙撃した。
バコンッ!! と、一応スナイパー・ライフルとは思えない音とともに、弾丸が放たれて、三浦はサイコキネシスによるバリアをも通過されて撃たれるのだった。
三浦はその場に倒れ、なんとか一命を取り留めたが、もはや虫の息であった。
(こんな銃撃をできるヤツは……!!)
薄れゆく意識の中、三浦龍作はある女の顔を思い浮かべる。家森の右腕と言われる狙撃のプロ、鈴江猟虎と呼ばれる女を━━。




