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サイバーパンク2021-そのモブキャラ(?)は糸と念力を操る-  作者: 東山スバル
第1幕 『退屈な日々にさようならを』

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10/21

ep10 スターリング・ファミリーNo.4・家森球太

「田沼のアニキが殺られたんですかい!?」


 幹部のひとりは驚愕した。ざわざわ……と会議室が揺れる。


「あぁ、間違いない。ピースキーパーの内通者からの情報だ。なんでも、サイコ・キラーになって死んだんだと」


 黒い髪をゆるく七三分けしているドンは、淡々とした感じでその幹部に答えた。


「誰が殺ったんですか!?」

「それがな、三浦龍作っていう野郎らしい」

「だ、誰ですか? 聞いたこともない」

「こっちも聞いたことないよ。ただひとつ言えるのは……おい、アキラ」


 ドンは近藤(こんどう)アキラという、幹部の中でも階級の高い男━━ヤクザでいうところの若頭(カシラ)に語りかけた。


「へい」

「オメェの隠し持っていた武器とギア、デバイスが強奪されたのは知っているよな?」

「そりゃあ、もちろん。だから田沼を使って、ソイツをぶち殺してやろうと思ったんですが……どうも返り討ちにあったみてぇで」

「それが不思議だとは思わねぇか? あの武器群は、こっちもかなり気を使って隠していた。いつか来るデカイ戦争のために。ところが、三浦龍作はあたかも最初から隠し場所を知っていた

 かのようにそれらの一部を強奪しやがった」

「そりゃあ、つまり……」

「理由は分からねぇが、その三浦龍作って野郎はこっちの動きを知っている。生かしておくと厄介なのは、間違いねぇわな」若きドンは顎に手を乗せ、やがてある幹部を指差す。「というわけで、オメェの出番だ。家森」


 ()(もり)球太(きゅうた)は頷き、


「承知しました。兵隊使って三浦龍作を()ります」


 ドンの命令に従うことにした。どのみち、自分たちの秘密を知られているのなら、消しておかないと後々厄介なのは、この場にいる全員が理解しているのだ。


 そして、家森はスターリング・ファミリー幹部の中でナンバー4の位置にいる男。彼の一声で、数千人の無法者が動くのである。


「しかし、家森。あまり三浦龍作を侮るなよ? オメェだって、田沼の強さは知っているだろう? いくら単身で突っ込んだとはいえ、あの田沼が殺られたんだから」

「二代目、おれは田沼の二の舞いにはなりませんよ。しっかり始末してきますわ」

「なら良いがな……」


 *


 そんな密談があったとはつゆ知らず、三浦は病院のベッドの上で、伊東が買ってきたフルーツを頬張っていた。


「うまい」


 かなりの深手を負ってしまったが、さすがは『サイバーパンク2021』の世界。カネさえ払えるのなら、たとえ内蔵がグチャグチャになっても2日あれば退院できる。しかも三浦は瀕死状態まで追い込まれていないため、即日退院できるとも言われた。


 そんなわけで身体が修復され、とりあえずどこへ住むか考えていた三浦の元に、血相を変えた伊東萌葉がやってきた。


「どうした?」

「三浦さん、もう病院から逃げたほうが良いかもです……」

「なんで?」

「ピースキーパーの情報班がとんでもない情報を掴みました……!!」伊東は恐怖からか身体と声を震わせていた。「スターリング・ファミリーのナンバー4、家森球太が三浦さんを殺すために動き出したみたいです!!」


 三浦は丁寧に切られていたマンゴーを置き、のんびりした態度で立ち上がり身体を伸ばす。


「家森、ねぇ。アイツはあれだろ? 表向きはセキュリティ会社を経営していて、創麗グループ嫌いの金持ちどもに創麗の武器を使って護衛しているとかなんとか」


 今ひとつ緊張感のない三浦の腕を、伊東は無理やり引っ張る。


「と、とにかく、ピースキーパーの用意した隠れ家に行ってください! あそこなら簡単に手出しできないから━━」


 刹那、三浦のいた個人用病室が轟音と炎に包まれた。それはすなわち、ロケット・ランチャーでも撃ち込んだということであろう。


「もう遅いな。よし、萌葉。応援呼べるなら呼んでくれ。家森の外道は、結構な兵隊を連れて来ると思うぜ?」


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