盗賊を見た
翌日、私はありがたいことにも朝食までご一緒した。
朝食の間も昨日の剣の話ですごく楽しかった。
それと、すごく安心した。ここにいる誰も私が剣を振ったことに対して偏見を持ったりすることをしなかったから。
「マーガレット、俺は今からやることがあるから送るよ。」
「よろしいのですか…?でも、今からやることがあるのでは…」
「気にしないで。君の屋敷の近くでやることだから。」
「…?分かりました。それではお言葉に甘えて…」
私とレイスはユーリス様と共に屋敷を出た。
屋敷を出るときに、何人かの衛兵も共に行くことになった。
「マーガレット。また夜に来てもいいか?」
「もちろんです…!夕食でも作っておきますね?」
「ありがとう…!頑張れそうだよ…!!じゃあ、行ってくるね!」
「はい!お気をつけて…!」
ユーリス様は衛兵たちと共に森の中へと消えていった。
「マーガレット様!夕食どうなさるのですか?食料買ってきましょうか…?」
「んー…そうね。私も行くわ…!レイス一人じゃ危ないもの…」
「なっ!ちょっとどういう意味ですか!?」
「ふふふっ!」
「マーガレット様、早く準備してください!行きますよ!市場に!」
「はいはい!」
私とレイスは馬車に乗り、この間種や苗を買った市場へ向かう。お昼だから賑やかな市場。笑顔溢れるこの街。本当に幸せそうだ。
「ねえ…聞いた…?」
「え、なになに?」
「最近、悪い盗賊をこの街で見たって言ってる人がいたの!」
「嘘〜!ほんとに?怖いわね…気をつけないと。」
街の二人の女性が盗賊の話をしていた。
街で見かけて驚いているということは、盗賊たちは割と街に出ずに森の中で身を隠し行動をしているか、違う国からやって来てここで何かをしているのかだろう…
それにしてもこのお二人が話している盗賊というのは、私とレイスを襲ってきた盗賊なのかしら…それとも、他に別の盗賊がいるのかしら…
(物騒ね…)
「マーガレット様。盗賊の話…」
「大丈夫よ。きっと…」
「そうですね…」
なぜ私たちが心配しているのかというと、襲われてユーリス様が助けてくださった後、盗賊たちは逃げ、その後から消息不明だからだ。ユーリス様たちは消息が分かっているかもしれないけど、もし、ユーリス様たちも知らなければ、いつ何が起こるか分からない。それに盗賊が言っていた「命令された」という言葉がずっと引っかかっている。一体、誰が、何のために私を襲わせたのか…
「マーガレット様…!マーガレット様!」
「えっ?」
「ずっと呼んでいたんですよ…?大丈夫ですか…?」
「ええ…ごめんね。で、どうしたの?」
「マーガレット様!この間は魚だったので今日はお肉にしませんか?」
「お肉…いいわね!ユーリス様も疲れて屋敷に来るでしょうから…そうしましょう!」
私とレイスはお肉をいくつか選んで買った。
今日のメニューはどうしようかなぁ…
お肉料理たくさんあるからなぁ…
そうだ。せっかく時間があるのだから煮込み料理を作ろう!