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これが、私とロベルト王子殿下の婚約破棄までの二年間

夜、相変わらずロベルトは帰って来る気配がない。すると、レイスが帰ってきて私の部屋へやって来た。


「マーガレット様…ただいま戻りました…」


「ありがとう…レイス。それでどうだったの?」


「それは…とても言いにくいのですが…」


この部屋にレイスが入ってきたときから分かっていた。何か分かったんだろうって。それが、私にとって良くないことだろうって…


「レイス。私は大丈夫だから。分かったことを全て話してちょうだい…?」


「はい…」


私は一度心を落ち着かせてレイスの話を聞くことにした。



────────────────────



「今のところ、ロベルト王子殿下は任務をちゃんと行ってるなぁ…」


今のところ、マーガレット様の言うような怪しいところはない。任務をして、休憩して、また任務に戻る。その繰り返し。


(あ、ロベルト王子殿下が出てきた…!)


僕は慌てて身を隠した。

移動するロベルト王子殿下の跡を追うけど、方向が屋敷の方向ではない…


(一体どこに…)


ロベルト王子殿下がとある家の前に着いたところで、僕も物陰に隠れてロベルト王子殿下の様子を見る。


(…一体、誰の家なんだろう…?)


すると、家の中から一人の若い女性が出てきた。

見た感じ、マーガレット様と同い年ぐらいの女性だと思う。そんな女性は、ロベルト王子殿下と外にも関わらず抱擁を交わしていた。


そして、見たくもないぐらいの熱く長いキスも…

家の場所は暗くはなく、街灯に照らされるような家だった。人が通れば誰と誰なのかは判別がつくほどなのに、人目を気にせずそのようなことをするロベルト王子殿下がこの国の未来の王なのだと思うと恥ずかしくて仕方がなかった。それに、僕は腹が立った。マーガレット様という素敵な女性がいながら他の女性に手を出すなど…許せない…


そして、ロベルト王子殿下はその家に入り、何分経っても出てくることはなかった。待っていても意味がないと思い屋敷に帰るけど、帰り道はマーガレット様のことばかり。マーガレット様にこのことを伝えたらどう思うか。マーガレット様が傷ついたときはどうすればいいか。そんなことばかり考えていた。


そんなことを考えているうちに屋敷へついていて僕はすぐにマーガレット様の元へ向かった


────────────────────


「レイス…ありがとう。」


「マーガレット様…大丈夫…ではないですよね…」


心配そうに私を見つめるレイス。


「大丈夫。むしろすっきりした気がするの。ずっと気にしてたことが分かったから…」


本当に知れてよかった。

どうせ、いつかは捨てられるんだろう…

それは多分、どこかの夜会とかで公の場で婚約破棄をしてその会っていた女性との婚約発表ってところかしら。


それなら、それで良い。

ロベルト。あなたの仕事に手伝ってはいたけど、婚約破棄になればその仕事は自分でしなくてはいけない。まさかそれを平民のその子にさせるつもり?無理な話よ…難しいことが多すぎるからね。だから婚約破棄のときまではきっちり仕事をしておいてあげる。


婚約破棄されれば、あなたの崩壊を待つだけだから。


ロベルトの浮気が発覚してから一年半が経ったころ。

屋敷には一人の女性がやってくるようになった。

それはロベルトの浮気相手、マリアだった。


マリアはロベルトからプレゼントされたと言ってドレスやペンダントなどをプレゼントされたと自慢げに話していた。そして私にも。そのプレゼントのお金はすべて私の両親が私のためにくれたお金なのにね。何も知らないマリアはよっぽど頭の中がお花畑なんだと思う。


私はこの屋敷のメイドたちや執事たちとは話す機会がなかったせいで仲良くもない。そのせいか、みんな揃って私ではなくマリアを婚約者にすればどうかとロベルトに話していた。本当…ふざけた話よね…


そんな中、マリアに部屋に呼び出された私は行ってみれば、目の前で突然、大切にしていると言いふらしていたペンダントを壊し始めた。そして、演技を始めた。涙を流し、大声で叫び、人を呼び寄せていく。人がある程度集まれば、マリアは自分で壊したペンダントを私が壊したと言い出した。


その後から、私への扱いは酷くなった。

マリアが来たことで屋敷の中でなら自由に動き回ることが許された私にメイドたちが私とすれ違う時に足を引っ掛けたり、ドレスを切り刻んだり、それに、お父様たちからのお手紙も切り刻まれたこともあった。


どうせもうすぐ婚約破棄がされるはず。

だからそれまでの辛抱だ。

そう思いながら過ごしてきた。


そしてついに婚約破棄を宣言された。

それと同時にマリアとの婚約。

私は国から追放。


全てから解放されて自由になった日…





「これが、私とロベルト王子殿下の婚約破棄までの二年間です…」


ユーリス第一王子は私の話をしっかり真剣に聞いてくれていた。


「マーガレット様、ユーリス第一王子殿下。紅茶です。」


「レイス、ありがとう。」


「ありがとう。」


レイスは私の隣に座り一度紅茶をみんなで飲む。

そして口を開いたのはユーリス第一王子殿下だった。


「マーガレット。ロベルトとマリアを潰そう。君のご両親のためでもある。今すぐに俺が潰してくる。待っていてくれ。」


真剣な目で言うから本当にやりそうで慌てて止めた。


「それは、まだいけません!もう少し、お待ちください…!」


「なぜだ!こんなに君を苦しませた男たちをなぜ守ろうとする。」


「違います!私にとってロベルト王子殿下とマリアなどどうでもいいのです!」


そう、私にとってその二人なんてどうでもいい。

どうせいつかは自分たちで自滅し、潰れる。

それが分かっているからこそ自分では手出ししないと決めている。今のところはだけど。


「じゃあ、どうしてだ…」


「家族とスタルツィア王国の国民のためです。」


「……。」


「お父様たちにはあとで自分から手紙を出すつもりです。もう書いてあるので。婚約破棄になったこと、そして理由。全て伝えようと思います。最初は伝えず、ロベルト王子殿下たちを幸せ続きの天国のような日々から地獄のような日々に突き落とすためにお父様たちまでも欺こうとしました。ですが、そんなことは良くない…お父様たちはいつも私を心配し、いつも幸せを願ってくれた…そんなお父様たちを裏切るようなことはしてはいけないと思ったのです…なので正直に伝え、全てにおいて協力をしていただくつもりです。スタルツィア王国にとって、いや、スタルツィア王国の王家にとってフィーレス公爵家は一番大事ですから…」


「……分かったよ。でも、国民は?」


「スタルツィア王国の国民は貧しい国民が多いのです。私は婚約する前まで何度か街で炊き出しもしました。そんな国民たちにとって、もし今、国が崩壊してしまうと、生活が今以上に困難になる。苦しくなる。みんなが苦しそうに暮らしているのを見るのがずっと辛かった…支援をしてほしいと願い出ても聞いてもらえず、国民は貧しくなるだけ…だから、国の崩壊までに、なんとか、一人一人の人たちに幸せをあげたいんです…この国に来て思いました…この国はみんなよく笑ってる…でも、スタルツィアではその光景はあまり多くない…ここに来て決意したんです。スタルツィアの国民たちを苦しくならないように、笑って、幸せに、そして平和に暮らせるようにしようって…」


私はもちろん、自分の家族たちのためでもあるけど、国民のためにも行動したいと思った。

だから、お父様たちに本当のことを伝えるというこの選択をしたんだ。そんな私をまた抱きしめてくるユーリス第一王子殿下。いや、さっきは泣いてたからあれだけど今は違うから抵抗してもいいよね?


それなのに、なぜか振り解きたくないと頭で思ってしまった。ああ…私、完全にこの人に魅せられたんだ…

この人の言葉、行動、堂々とした姿。その全てに…


「マーガレット。やっぱり君は俺が幸せにする。君が守りたいものも大切にしたい人も、全て俺が守る…マーガレットのためならこの身を捨てることだって出来る…君がいればそれでいい…でも、君が大切に思う人たちなら俺は、その人たちも責任を持って守る。そして責任を持って幸せにする。」


「ユーリス第一王子殿下…」


「まずはその堅苦しい呼び方からだよ、マーガレット。ほら…名前で呼んで…」


なんだろう…本当に彼なら守ってくれそうで、すごく信頼ができる…


「ユ、ユーリス様…」


私がただ名前を呼んだだけなのにユーリス様は強く抱きしめてくる。


「はあ…かわいい!!世界一かわいいよ!!マーガレット…もっと呼んでくれ…ずっと…俺のマーガレットだ…」


──チュ


「…んっ!」


「反応もかわいいね…愛してるよ…マーガレット。」


そう言って私の頭を撫でるユーリス様。私の初キスが…!!そして時間も時間ということで今日は帰るとのことだった。ユーリス様が帰ったあと、レイスは、なんかほったらかしにされてたことが悲しかったらしく、落ち込んでたけど、フルーツをあげればすぐに機嫌が治っていた。レイスもユーリス様は大丈夫な人だと言って私にユーリス様と婚約すればいいのにって言ってきたけど、出会ってそんなに経ってないしらよく知らない状態で婚約なんてロベルトのせいで良くないことがもう分かったから言葉は濁しながらもユーリス様と婚約することになったとしたら嫌ではないとレイスには伝えた。レイスはフルーツに夢中になりながら笑顔で聞いてたけどね…ふふっ!

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