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麗しの女神様は平凡男子に恋をする

作者: ひまわり

私立桜絛学園には「麗しの女神様」と

呼ばれる生徒会長がいる。

「麗しの女神様」こと宝条先輩は艶やかで

枝毛ひとつない美しい黒髪と天使のような

愛らしい顔立ちの美女だった。

手足が細長く、スラリとしたモデルのような

体型はまさに女性の理想だ。

欠点と呼ばれるところは一つもなく、

ふわりと微笑めば老若男女問わず、

誰もが恋に落ちる。

まさに女神の微笑みそのものだった。

そんな宝条先輩と平々凡々な一つ年下の俺が

仲良くなったきっかけは本だった。

本が好きという理由で図書委員になった俺は

誰もいない図書室の中で1人、本を真剣に読む宝条先輩に恋をした。

いわゆる一目惚れで、彼女のことなんてなにも

知らなかった。

そんなある日、趣味として描いている小説を彼女に

見られてしまった。


「これは君が描いたのか?」


「は、はい。」


「凄いな君!とっても面白いよ。他にもあるか?」


「え、」


「どうした?」


「面白い、ですか??お世辞で言ってるんだったら」


「お世辞じゃない!面白いよ。将来は小説家になるのか?」


「そんな簡単じゃないですけどね。」


「なんでそんなこと言うんだ?」


「友達からはつまらないって言われてきたんで。」


「こんなに面白いのに?そうだ自己紹介がまだだったな。私は宝条だ。君、名前なんて言うんだ?」


「早瀬です。」 


「早瀬か。また新作ができたらぜひ、見せてほしい。ダメだろうか?」


「い、いえ。ぜひ、お願いします。」


「よかった。」


「そういえば宝生先輩の喋り方いつもと全然違いますね。」


いつもは敬語でお淑やかそうで話しにくいのに

今はやんちゃで話しやすい。こっちの方が好きだ。


「こっちが素なんだ。兄が3人いるせいでこんな喋り方になってしまった。みんなの女神様のイメージを崩すわけにはいかなくて、いつもは敬語なんだが、つい興奮して・・・。すまない。不快ならいつもの言葉遣いに変える。」


「そうだったんですね。俺的にはそっちの方が好きなんで変えなくて平気です。」


「そうか。よかった。あと、できれば他の子達にはこの喋り方のこと、黙っていてくれないか?」


「全然いいですよ。」


それって俺だけがこの宝条さんを

知ってるってことか!?嬉しい!


「ありがとう。」


ふわりと微笑まれ、胸が高鳴る。

その日から俺は新作を書いては宝条さんに見せていた。

宝条先輩はいつも面白いと言ってくれる。

そしていつものように新作を読んでもらっていると


「この、大賞に応募してみないか?」と言われた。


「え?」


「優秀賞を受賞した人は作品が書籍化されて漫画化やアニメ化もされるんだ。早瀬なら絶対受かると思う。」


「でも、」


「夢である小説家になるチャンスだ。」


「・・・俺、やってみます。」


「私もできることがあれば協力する。」


「ありがとうございます。」


それからは賞に出すための作品作りに全てをかけた。出来上がった作品を見てもらおうと宝条先輩のクラスに行くと生徒会副会長である佐久間晴がいた。

学校1のイケメンとして有名でモデル活動もしている

佐久間先輩と満面の笑みでにこやかに会話している

先輩は楽しそうだ。


「先輩!」


「あ、早瀬!くん。」


他の人もいるせいかどこか他人行儀な先輩の声。


「新しいやつ、完成したんで、よければ。」


「ありがとうございます。」


その言葉遣いに胸が苦しくなる。

俺だけが知っていて嬉しいはずなのに

今自分は他の人と何ら変わりない

言葉遣いを向けられていることが虚しい。


「どうしたんだ宝条。誰だあいつ。」 


「早瀬くんっていってとってもいい子なんです。」


「へぇー。」 


俺は、先輩にとって俺はただの後輩だ。

そのことが胸を苦しめた。

その日以来俺は先輩に近づくことをやめた。 


******


「早瀬、最近作品書いてないのか?」


2人きりのためいつもの口調に戻った

先輩。


「はい。もう書くつもりはないです。」


「そうか。私にできることがあれば」


「先輩はいつも優しいですね。でも、もういいんです。」


「そう、か。すまない。」


「いいえ、それともう俺に関わらなくていいですよ。」  


「え?」


「それじゃあ。」


******


「とは言ったものの、会いたいなぁ。」


「おい、お前早瀬か?」


「副会長!?」


話しかけてきたのは佐久間副会長だった。


「副会長が俺なんかに何のようでしょうか。」


宝条先輩に近づくなとでも言うのだろうか?


「まぁ,そう固くなるなよ。宝条がさ、風邪引いたんだと。それでお前、見舞い行ってこい。」


宝条先輩が風邪!?

でも、もう関わらないって決めたんだ。

宝条先輩だってきっと迷惑・・・


「黙ってないでいいから行ってこいよ。」


「副会長はいいんですか?先輩のこと好きじゃないんですか?」


「なーに言ってんだお前。俺、宝条より可愛い彼女いるし。宝条はただの生徒会仲間。」


「え!?そうなんですか!?」


「だから、宝条のことなんてなんとも思ってねぇよ。お前の早とちりだバーカ。」


「良かったぁ。」


「家、ここだから。迷うなよ!」


「はい!ありがとうございます。」


「中学の頃から好きだったとか、言えるわけねぇだろ・・・。」


急いで走り出す俺に副会長の声は

聞こえなかった。

家のチャイムを押す。扉が開き、

宝条先輩の姿が見えた。


「先輩!風邪大丈夫ですか?」


「早瀬?風邪ってどういうことだ?どうして家を知って」


「・・・ハメられた!佐久間先輩に宝条先輩が風邪って聞いて、その・・・ゼリーとか買ってきちゃったんですけど。」


「そうだったのか。すまない、良ければ紅茶でも飲むか?今入れようと思っていたところなんだ。」


「頂きます。」


「はちみつ紅茶にしてもいいか?今茶葉がそれしかなくて、」


「もちろんです!」


「先輩、俺、先輩のことが好きです。」


「え?」


「付き合ってほしいって思ってます。」


「あ、ありがとう。私も、早瀬のことが、す、好きだ。」


「本当ですか?」


「あぁ。」


「嬉しいです!」


「あの、早瀬のこと、翼って呼んでもいいか?」


「はい!俺も百合華先輩とお呼びしても良いですか?」


「先輩はいらないよ。」


「じゃあ百合華さん。」


「っ!」


一瞬にして先輩、百合華さんの顔が

赤くなる。


「不意打ちは、卑怯だ。」


「百合華さん、可愛いです。大好きです。」


どんどん顔が赤くなる百合華さんが

可愛くてつい笑ってしまう。


「私だけ照れてずるいじゃないか。」


「今まで散々照れてきたんだから今度は俺が百合華さんを照れさせます。」


「ずるい!」


「ははっ。」


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