悪役令嬢こと私ですが、ぶっ殺されても文句は言えませんわよね?
「シルファ令嬢!!あなたは間違っている!!」
大声で貴族が叫んでいた。周りの者も、そうだそうだと賛同の声。
非難されているのは、ロイス・シルファ。名の知れた令嬢である。悪役令嬢と呼ばれている。
「ん?間違っている?なにがですか?」
微笑むシルファ。
「貴女は人を殺した!!なんとも思わないのか!!公爵家のミルラ様を!!あんなに、あんなに愛らしい……」
「は?」
シルファは鋭い眼で貴族を見た。
「愛らしければ、盗みを働いてもいいのですか?私の大切にしていた宝石を盗んだのですが?」
「ミルラ様がそんなことをするわけがない!!」
「は?」
二度目の言葉。論外だと感じるシルファ。思考停止のバカ貴族ども。
「あの宝石って、魔除けの効果があるんですけれど、そんなに悠長に構えてて大丈夫なのですか?ミルラがどこかへ売り払ってしまったと、報告がありましたけれど。それも、自分の体裁を保つ資金欲しさに」
「ミルラ様は体裁など保とうとするお方ではない!!あんなに美しい令嬢を……」
非難する貴族たち。そうだそうだ。シルファは悪者だ。断罪せよ。極刑だ。
貴族がシルファにワインをぶちまけた。シルファの紫のドレスが、さらに紫に染まる。
しかしシルファは動じない。
「なるほど。では、盗みを働いたイコール、ミルラは善人。それを殺したわたくしシルファ、イコール、悪者。そういった解釈でよろしいですね?
微笑むシルファ。最終忠告だよ、と心で告げながら。
「そうだ!!貴様は悪者だ!!」
貴族たちの意見は変わらなかった。シルファをあくまで悪者だといいつける。
ミルラが宝石を盗んだのは事実である。しかし、それを信じようとしない。
シルファは満面の笑顔でこう言った。
「バーカ」
次の瞬間、シルファは華麗に走り、傍にあった馬車に乗り込んだ。
御者の、信頼できる部下に指令を出す。
「隣の国まで一直線にお願い。この国滅ぶ」
馬車が猛ダッシュでスタート。貴族たちは追いきれない。
「悪魔が逃げたぞ!!」
「逃げたのはやはり罪を認めたからだ!!」
「いや、待て!!ミルラ様だ!!ミルラ様の葬儀が先だ!!あんな悪魔に構うな!!」
そんな遠くの声。シルファは椅子に座りながら、ニコニコ笑顔。
一週間後。シルファは隣の国でのカフェで、笑顔で号外を受け取っていた。
『シルキード国、闇の魔王の手に落ちる』
シルキード国というのは、シルファは悪魔だと罵っていた国である。平和であったが、魔王の手に落ちたのが現実。
何故か。シルファの持っていた石が、魔王祓いになっていたのだ。ミルラはそれを盗み出し、勝ってに売ってしまった。そして、このザマ。
シルファは、笑顔で独り言。
「ぶっ殺されても文句は言えませんわよね?」
楽しんでくださったら、幸いです。
良ければ、☆マークから、評価下さると、嬉しいです。




