3 エンジェルパウダー
我に返った幸一は、
夢……?
と、目をこすってまた開けたが、そこには何もいなかった。
エンジェルパウダー? 確かおじいさん天使が、Xとか言ってたな。
幸一が再びXを開くと、自分のポストするの欄に、匂い袋のような画像が出てきた。
もしかして、これ? 何か簡単過ぎる展開。
幸一がその画像を開くと、金色とピンク色の光の粉が画面いっぱいに広がった。
確か、エンジェルパウダーって、おじいさん天使が言ってたっけ。でも、何に使うんだろう?
と、幸一は頭をひねった。
「幸一、何してるの?」
と、母さんがドアを開けて幸一の部屋に入ってきた。
「母さん、さっきはごめんなさい。僕、あんなことして……。」
「そんなこといいわよ。それより、幸一、何だか嬉しそうね」
「そ、そう?」
幸一は天使たちのことを言っていいかどうか迷っていたので、無口になった。
「嬉しい結構! 今日の夕ご飯は、幸一が大好きな母さん特製ハンバーグにするわよ」
「えっ、ハンバーグ!!」
幸一は、昼間のようなどんよりが嘘のように歓声を上げた。
「どうやら元気になったみたいね。母さん、心配して損したわ。何かあったの?」
「べっ、別に何も……」
幸一は、やっぱり天使たちのことは言わないようにした。
母さんが部屋から出て行くと、幸一は一息ついた。そして、大きく伸びをした。
待てよ、エンジェルパウダーって、ハンバーグ? つまり、良いことが起こるってこと???
母さんの特製ハンバーグはとても美味しい。美味しそうな肉の匂いがして、食べたら、肉汁があふれてくる。それにハンバーグに添えているポテトサラダやブロッコリーやミニトマトを一緒に食べたら、とても美味しい。
そうだ、きっとそうだよ。天使さんたちが出してくれたから、エンジェルパウダーの画像を開いたら、良いことが起こるんだ。
ー☆ー
次の日、幸一は、学校から帰ってくると、早速、勉強机に向かい、タブレットを開いた。Xの画面にすると、通知欄を開いた。すると、昨日、幸一が呟いたキャプテン翼の三杉淳のポストに対して、何件か返信が着ていた。
淳さまのことをそんな風に言うなんて鬼畜!
三杉淳の大変さが分からないなんて、何て奴だ!
珍しい意見だ!
君、大丈夫? 何かあったの?
etc……
何?、これ?
幸一は、Xが大変なことになっていることに驚いた。
そうか、昨日、僕がヤケになって、あんなこと書いたから……でも、Xって、怖っ!
幸一は10件くらい着ている返信を見て呆然とした。
どうしよう……
幸一はしばらく考えたが、どう返信して良いやら分からない。
ん……、そうだ、エンジェルパウダー!
幸一は、天使たちがくれたエンジェルパウダーの画像を思い出すと、あとは、どのように返信したら良いのか、スルスル浮かんできた。
すみません。昨日はどうかしていました。この画像は、エンジェルパウダーといって、クリックすると、ティンカーベルのような光の粉が出ます。それを見たら良いことが起こるかも知れない。おわびに。
と、幸一は、この文面と似たようなものを、返信をくれた1人1人に送った。
これって、誰かを喜ばせることになるのかな?
幸一はよく分からなかったが、とりあえず、昨日のヤケポストのおわびはできたと思った。