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コンテストに向けてエールを送る日(メティス、今日は何の日か教えて。-書き下ろし特別編-)

作者: 朝比奈来珠

この作品は「メティス、今日は何の日か教えて。」の特別編として書き下ろした作品になります。

 --チュンチュン……。


 ある日の朝。

小鳥の囀りが、外の居心地よさを感じるような声で響いている。


ピピッ、ピピッ、ピピピ……! ガチャッ!


身体をもぞもぞと動かす私は、重い瞼で目を閉じたまま、ベッドの上にある目覚まし時計を探り、アラーム音を止める。


(うぅ……、眠いけど、そろそろ起きないとなぁ……)


ちゃんと起きるまで、少々時間が掛かるものの、なんとか身体を起こすことに成功した。

寝室から出て、ダイニングキッチンの方へ向かい、作業台の上にあるモニター兼AIスマートスピーカー『メティス』に向かって挨拶をする。


「メティス、おはよう」

『おはようございます、今日の予定が一件、十四時から〇〇ホールの特設会場にて、全国小学生水彩画コンテストの日です』


メティスは、私の声に反応し、今日の予定を伝える。


(あっ、そうだった!)


今日は、約束があって出掛けないといけない日だ。

お昼過ぎから、十歳離れた従姉と一緒に、会場へ行く予定がある。

どうやら、従姉の娘さんが、全国絵画コンテストの小学生高学年部門に出品し、地方の代表として展示するそうだ。

会場は、ここからだと、バスを使って三十分ぐらいと見通している。

確か、待ち合わせが会場の最寄り駅の改札口で、到着予定のバス停も駅前にあるから間に合うはず。


(この場所は、用事がない限り、あまり行かない所だなぁ。とりあえず、余裕を持ってここを出た方が良いなぁ)


出発まで、時間はあるし、朝ごはんを食べた後、次号の掲載する詩の執筆をしないと。

思い付かなかったら、バスの中で、ネタだけでも考えてみるのも良いかもしれない。

私は、外出の準備に向けながら、家事を行う。



 ◇ ◆ ◇



 --時は過ぎ、支度を終え、家を出た後の最寄りのバス停。


結局、朝食後の空いている時間に、ネットで色々と調べたり考えたものの、良い案が思い付かなかった。


(とはいえ、無情にも時というのは、待ってくれないものだ)


ここに来るまでの間も、乗車する予定のバスを待っている間も、アイデアの閃きが来ないまま。

私は、仕方なく予定通り、数分後に来たバスに乗る。

平日のお昼だからなのか、バスの中は、比較的に空いていた。

バスの中の席で、いつも乗る席が大体決まっている。

後ろから三番目ぐらいの窓側。

何故、その席が良いのかわからないけど、私にとって、なんとなく一番落ち着くのだろう。


(コンテストかぁ、学生時代以来だ)


バスが出発してから、窓の外を見て揺られながら、ふと、薄らと考え事をしていた。

私も、夏休みの絵画コンクールが印象にあったなぁと、当時、学生だった頃を振り返っている。


(コンテスト……、コンテスト、ねぇ……。ん? 確か、メティスが予定のことを伝えてくれた時、こんなことを説明して言っていたなぁ)


「コンテストは、作品の出来や技術、容姿などを審査員による評価で競うこと。元々英語では“競技”や“競争”の意味の単語からカタカナにしたと言われています。フランス語でのコンクールも同じ意味合いですが、芸術系の競い合いを指すそうです」


ちなみに、今日の予定も、その一つ。

その言葉が現れてから、色んな方面でコンテストやコンクールの言葉が広がり始め、今も使われている。


(おっ! これを題材に書けそうな予感がする!)


急いでスマホを取り出し、メモ機能で、ひたすらキーを打ち込む。



 ・挑戦者の伝えたい想い


ねぇ、聞こえている?

私達の語りたい声色を

ねぇ、見えている?

私達の想像する情景を

ねぇ、感じている?

私達の溢れるありったけの感情を


形は違えど 伝えたい想いは

どれも変わらない

ただただ みんなに

沢山届けたい



 ◇ ◆ ◇



(よし、書けた!)


挑戦する人やエールを送る人達の思いを、ここに記したかった。

気持ちは、かなりストレートな言葉だけど、導き出せたと思う。


それは、私も、同じ気持ちだ。

私の書くこの自由詩に、一人でも共感出来たらと願っている。


(一人でも多く、貴方の気持ちが伝わるといいですね)


「……⁉︎」


今、誰かに囁かれたような気がしたが、気のせいだったのだろうか?

私は思わず後ろを振り向いたが、他のお客さんが話していた台詞ではなかった。

私の後ろに座っている席は一人だけど、側で立っている人と話している。

かといって、私の手に持っているスマホを見ても、当然、通知音すらなく、無音の状態。


(やはり、気のせい、かぁ)


不思議に思いつつ、首を傾げながらも、何もなかったかのようなフリをして、バスに揺られながら目的地へ向かっている。



 ◇ ◆ ◇



 「〇〇駅前〜」


 アナウンスされた地点が、今日の目的地。

私は、そこへ降りるために降車ボタンを押し鳴らす。

そして、数分後に到着し、私は席から立ち上がって、バスから降りた。

時間より十分ぐらい前に、待ち合わせ付近に到着したので、先に、従姉にメッセージで連絡をした。

今、後ろにいるよと、すぐに返事が返ってきて、メッセージの通りに振り向くと……。


「おーい、こっちこっち!」


彼女が、手を振りながら、私に声を掛けている。


従姉ねえさん、待った?」

「ううん、私もさっき来たところ。んじゃ、早速行きましょう!」

「うん」


ウキウキしながら、彼女は張り切って、会場のホールへ向かう。

陰で見守り支えた、一番の応援者である従姉にとっては、自慢の娘が作品を展示することに対し、誰よりも喜んでいる。

応援している身近な人の声が、きっと、挑戦する人の心強さの支えになっているのだろう。


ーー未来への道と夢へのエールと想いを届けるために、それぞれの想いを、みんなへ……。

 皆様、こんにちは。初めましての方は、初めまして。朝比奈 来珠です。

「メティス、今日は何の日か教えて。」書き下ろし特別編を読んでいただき、ありがとうございます。

普段は、別のサイトで連載を掲載していますが、こちらでは書き下ろしとして掲載しました。


 では、早速ですが、あとがきの本題に入りましょう。

「メティス〜」を書くキッカケとなったのが、ある秋から冬になり始めるの時期の頃。

某有名メーカーのモニター付きスマートスピーカーを導入したことが始まりです。

以前から、私のネット仲間の人との会話に使い勝手のことなど、色々と聞いていく内に、自分の家にも導入したら、幅が広がるだろうなぁと思い、購入しました。

今も、音楽を聴いたり、動画を見たりしています。

そして、私が挨拶や色んな質問を交わすと、挨拶もしてくれる上に、記念日や予定などを教えてくれる……それをヒントに物語にしてみようと思った次第です。

単純にエッセイ風に綴るのも楽しいけれど、少し幅を広げようと詩を混じり入れ、尚且つ、通勤通学内の電車でのスキマ時間の楽しみに物語を読んでもらえたらと、ショートショートで書くことに決めました。

元々、私自身も、かつて通勤通学で目的地の駅まで距離が短いこともあって、五分ぐらいサッと読める物語を読んでいた時期もありました。

その影響もあって、私も読むだけではなく書くことも挑戦したかったことも重なったことも一つの要因です。


 ……ということで、あとがきは、そろそろ締めようと思います。

重ねてになりますが、ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。

また、「小説家になろう」内で、お会い出来る時を、楽しみにしております。

それでは、この辺にて失礼します。

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― 新着の感想 ―
[良い点] スマートスピーカーが日常に存在している様子が丁寧に描かれていて、興味を惹かれました。 何より、単純に予定を把握しているだけではなくて『メティス』がそれに絡めた雑学を教えてくれる機能を『私』…
[良い点]  主人公の日常の一コマがとても丁寧に描かれているとおもいます。メティスが物語の鍵になりそうに思えますが、今後のお話は別作品で~ということですね。 [気になる点]  スマートスピーカー、便利…
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