16
皆の優しさに絆された紗綾は涙を拭いながら、口を開いた。
「みなさん、優しいですね。ほんとうに、私みたいに者のために、ありがとうございます。この、ご恩は必ず返しますから」
この時、紗綾には思うことがあった。数日後、首尾よく宝くじを換金できたら、この人達に、いくらかでも現金を手渡してあげようと。でも、そのことは口が裂けても言えない。人間はお金が絡むと人が変わるから。それはもう、恵介だけで十分に懲りていた。いや、恵介はお金で人柄が変わるのとは少し違うような気がする。元々、性悪なのだから、変わるとか変わらないの問題ではないのだろう。
「紗綾、そんなに恩に切らなくても大丈夫や。ここにいる間は、私と一緒におまえさんにも色々と働いてもらうからの」
およねの口から、いきなり思わぬ言葉が飛び出した。
「……仕事ですか?」
「そうだ。働かざる者食うべからずと言うやろ」
「はぁ……それで、私はなにをすればいいんでしょうか?」
紗綾は、おそらく内職か何かの仕事だと思っていた。それもそのはず、およねの年を考えると到底、普通には働けないと考えたからだ。
「そうさな。とりあえず飯を食ってから、わしについてきてもらおうかの」
お読みいただき、ありがとうございます。 少しでも面白いと思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします。 評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。




