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 そんな折、善三が紗綾を安心さすように口火を切った。


「まあ、生きてたら色々あるわな。お嬢ちゃん、気にせんとここに居たらええ。およねさんも孫のように思ってくれてるはずやから。およねさんはな、わしら一人一人を繋いでくれた人なんや。わしが何もかも失って、右も左もわからんままここに辿(たど)り着いた時も、善三やアンナやさっきの涼平とかこの二人も紹介してくれた人なんや。それで、なんとか今まで生きてこれてるんや。どんなところでも、人間は一人では生きいかれへんやろ。──まあ、でも今の暮らしは文化的な暮らしとは、かなりかけ離れているけどな……はっははは」


 橋が、街と街を繋げるように、およねも彼らにとっては橋のような存在だった。


「紗綾、まあそういうことや。ここにおる奴らはみんな家族みたいなもんや。せやから、おまえの気の済むまで、狭苦しい部屋やけど自分の家のように思って暮らしたらええ」


 またしても、およねや皆の優しさが心に染みた。正座をしたまま太ももの上に強く握った拳を置いた紗綾は身体をプルプルと震わした。次の瞬間、頬に大粒の涙がこぼれ落ちた。


「ほらほら、皆で女の子を泣かしたらあかんがな。せっかくの刺身が台無しになるで、とりあえず涼平が戻ってくるまで、これは冷蔵庫にしまっとくな」


 気を利かせた寛太が、刺身を盛り付けた皿を冷蔵庫にしまった。

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