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明らかにおののいた顔を見せた。それは普通の驚きではなかった。しばしの間、目をしばたたかせた涼平は、紗綾の顔をまじまじと眺めると、鼻を少し上に向けクンクンと嗅ぎだした。
「どうした涼平? くしゃみでも、でそうなんか?」
「いや、なんでもない。じゃあ、ちょっと行ってくるわ」
この時、誰よりも鼻が利く涼平はなにかを嗅ぎ分けたようだった。
「気をつけて行きなよ。あっ、それとアンナバネッサからも聞いてると思うが、この娘はわしの大事なお客さんやからな」
「あぁ、わかってる。金に目が眩むようなことはしねぇーよ」
涼平が、そう言うとスーパーの方へと駆けて行った。
今の涼平の態度を不審に思った紗綾だが、内心はそれどころではなかった。みんなに迷惑をかけていることを、素直に謝りたかったのだ。
「みなさん、すいません。私がここに転がり込んできたばっかりに…」
これ以上の言葉が見つからなかった。
居間と狭い通路には、善三と寛太、アンナと他二人の中年男と女が所狭しと立っていた。
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