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「ほれ、およねさん、(さば)けたぜ。さっきは、やかましぃしてすまんかったで」


 (ぼら)の刺身を皿の上に盛り付けて持ってきたのは寛太だった。寛太は、部屋に入ってくるなり、その皿を丸いちゃぶ台に、とんっと置いた。


 寛太の年の頃は60才くらい、元々、京都の老舗料亭の料理長をしていたらしい。


「次は気をつけてくれ。──さあ、久しぶりに鰡の刺身でもいただこうかな。ん? 酢味噌がないのぉ」


「へへへへ。およねさん、すまないが酢と白味噌と味醂(みりん)と砂糖を少し使わせてくれへんか?」


「そうかい。まあそんなところやと思ったわ。けどな、白味噌はない。誰かひとっ走りして()うて来てくれ」


「じゃあ、およねさん俺が行っくてるわ」


 部屋の狭い通路から、皆を押し退けて顔だけ出したのは若くて美丈夫な男の子だった。見た目は17か18才。髪の色は茶髪。なぜか昼間なのに、薄い色のレンズをはめたサングラスをつけている。だが、整った顔立ち、愛嬌のある笑顔を見る限りでは不良ではなさそう。気の良さそうな好青年のようだ。


「おぉ、涼平(りょうへい)、いつも使い立ててすまんの」


「いいってことよ。それで刺身が食べれるんならお安いご用やって」


「そしたら、このお金を持っていき」


「オッケー。えっ!?」


 涼平がおよねからお金を受け取ろうして居間に入ったとたん、目を丸くしてかたまった。


「なんや涼平? どうしたんや?」


「いやぁ~、いきなり知らん人がいてたからちょっと、びっくりしてもぉーてん」

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