表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/312

6

 一方、ぼろアパートでは、コイン式のシャワーから出てきた紗綾が老婆の部屋で時をやり過ごしていた。


「おばあさん、なにからなにまで、ありがとうございます。本当に助かりました」


「気にすることはない。じゃが、若い娘の下着などは持っておらんからの。それに(ちち)パットはないが、それで辛抱せぇや」


「いえ。こんな新品の下着と服まで着せてもらって……これは、またどこかで購入してお返ししますから」


 老婆が紗綾に手渡したものは真っ白な(もも)引きと淡い紫色のチュニックだった。


「別に気にするでねぇ。わしゃが、亡くなったときに着せてもらおうと思って取っとおいたものじゃから」


 老婆がそう言いながら紗綾に熱いお茶を淹れる。老婆の優しさに、少し落ち着きを取り戻した紗綾。でも、内心は今後の行く末が心配でしょうがなかった。


(ここは一体どこなんだろう? 京都から車で高速を使って約1時間半くらいなのに、まるで別世界。それに、変な人達にどこかへ連れ行かれた恵介は、一体どうなったんだろう? 早く京都に戻らなくっちゃ。お風呂場の椅子の脚に隠した当たりくじも気になるし。どうしよう?)


 そこへ、玄関口の木製の戸からノック音と同時に男の声がした。


「およねさん、おるんか?」

お読みいただき、ありがとうございます。 少しでも面白いと思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします。 評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ