6.
そうして、タクが段ボールハウスが並ぶ公園に辿り着いたとき、ふらふらと歩いている恵介の姿を捕らえた。
「おい恵介! おまえ俺に隠してたやろ! 50億のラト10当たったんやってな!!」
「えっ!? 50億……?」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔の恵介は、ついさっきの男から後頭部に当て身を喰らわされたせいで、軽い脳震盪を起こしていた。頭がしっかりと働いていなかったのだ。
「とぼけるな! そのせいで俺も拉致されて殺されるとこやってんぞ!」
殺されるは言い過ぎだが、タクはなんとしてでも、恵介におこぼれをもらおうと悪知恵を働かそうとする。
「ちょ、ちょっと待ってくださいタクさん。なんでタクさんまで拉致されたんですか?」
「それは俺も知りたいわ。ただ、あいつらは、お前らが当てた50億の当たりくじをどこに隠してるんかって、しつこぉー聞いたきたんや」
「えっ!? 50億ですか….」
「そうや50億や! 当たったんやろ?」
「えっ、当たってませんよ。俺らが当たったんは二等の7億ですわ」
そう言うと恵介は、はっと我に返った。
(しまった。タクさんに言うてしもーた)
「ちゃうちゃう。50億や! 俺が聞いたんは間違いなく50億や!」
(えっ!? 50億……そうかっ! やっぱり1等が《《当たってたんや》》!! 紗綾の奴、俺に嘘をつきよったな、ほんまムカつく女やで!!)
目を丸くしてから、徐々に目尻を吊り上がらせた恵介は、もう一度タクに詳しい話を聞こうとする。
お読みいただき、ありがとうございます。 少しでも面白いと思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします。 評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。




