バラエティーに富んだ世捨て人達
「ほれ、お嬢ちゃん、大丈夫か?」
ホームレス風の老婆が紗綾に問いかける。顔に巻かれたガムテープを剥がし、強烈な臭いがするタオルを口から取り出した。そのとたん、紗綾は嗚咽をあげ続け、しばらく喋れなかった。少し落ち着きを取り戻すと、疲れきった乾いたような声をだす。
「あ、ありがとうございます。た、助けていただいて……おぇーっ、めっちゃ、気持ち悪い、おぇーっ」
未だに吐き気がおさまらない紗綾。だが、およねはそんな紗綾を急がせるように声をあげた。
「礼などはええから、はよーここから離れなあかん。──あんた追われてるんやろ?」
「はい……なんかよくわからないんですが、蛇みたいな男に付きまとわれて…」
蛇みたいな男とは恵介のことだ。紗綾は、公園で老婆が羽織っていた雨合羽を渡され、それを身に纏っていた。乳白色の雨合羽。かろうじて中身が見えないので助かっている。紗綾は老婆の肩を借りてその場から立ち去った。
「とりあえず、わたしの家に向かうぞ」
「は、はい、すいません」
そうして、足を引きずりながらしばらく歩くと、やっとの思いで老婆の家にたどり着く。ホームレスが集う公園から、さほど離れていない2階建てのぼろアパートだ。
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