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おそらく嘘はなさそうだ。もし、こいつが当たりくじを持っているなら、わざわざ女を売り飛ばすようなリスクは背負わないだろう。それに、他の仲間からの連絡では、恵介と一緒に車で来たもう一人の男も何も知らないようだ。その男の事務所にも、車の中にも、女の手荷物であるスーツケースにも、当たりくじは見つからなかった。
その後、全身黒づくめの男は、いきなり恵介の首の後ろに強烈な当て身を喰らわすと、崩れるようにして惠介が倒れた。
狭い段ボールハウスから出てきた男は、ボスである藤木に電話をする。
「もしもし、社長。あの男、例の物は持ってませんでした。それに、未だに二等が当選したと思ってますわ。めでたい奴ですわ。それで、男が言うには、今朝方、当たりくじを持っていた女が何者かに引ったくられたって言い張ってますけど、どうしましょ?」
「そっか。──女が身につけてた物の中にも、なんもなかったみたいやしな……じゃあ、おそらく女がどっかに隠しとるっていうことやな」
「はい、私もそう思います」
「よしっ、そしたらお前達は女を手分けして探してくれ。なんやさっき連れていった場所から急に消えたらしいわ。B班の奴等にも女を探すように指示をだしてるから、お互い協力してやってくれ」
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