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悪臭

 なかなか当たりくじを見つけ出せない尾崎から依頼を受けた藤木は、少しあせっていた。ほとんどの依頼を完遂させるのが彼の売り。長年、闇の業者のボスである藤木は汚い仕事も請け負ってきた。どんな仕事であろうと必ずやり遂げるのが彼のモットー。もちろんプライドもある。この筋のプロという面子を保ち続けなければこの世界では生きていけないのは藤木が一番よく知っている。それゆえに、クライアントからの信頼は絶大なものだった。


 そして今回の尾崎の依頼は成功報酬だった。なにがなんでも当たりくじを見つけなければ、報酬が発生しない。けれどこの成功報酬、裏を返せば、当たりくじを見つけた(あかつき)にはかなりの報酬が約束されている。金と面子(メンツ)。尾崎は躍起になっていた。


 紗綾や恵介の実家にも未だに数名の男達が交代で張り込んでいる。念の入れようが半端なかったのだ。


 飛田新地の通りでは、恵介が紗綾の髪を強く引っ張りあげて無理やり立たそうとしている。痛がる紗綾は必死で抵抗するが、男の力には(あらが)えない。


「チッ、手間とらせやがって。ボケが!」


「い、痛いって、離せ! この外道が!」


 恵介は、髪の毛を引っ張ったまま強引に先程の高級風俗店『胡蝶風月』に連れ戻そうとする。髪を引っ張られ頭皮からくる痛みに耐えきれない紗綾。しぶしぶ前屈みの姿勢で、引きづられるようにして足をもたつかせていた。


 そのような最中、野次馬の中から丸刈りの目つきの悪い男やニッカポッカに作業着のベストを着た5人のガタイのいい男達が二人の背後から迫ってきた。

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