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 5階建ての低層マンション。ワンフロアーには、3LDKほどの坪数が約20部屋ほど並んでいるよう。この付近では、そこそこ大きな建物だ。


 玄関には、『胡蝶風月』とネオンで型どられた看板が質素に掲げられている。その下には、大型シャッターでできた門扉があり、あちらこちらに設置してある防犯カメラが侵入者を監視している。


 このマンションを遠目で見たタクは運転しながら、電話をしだす。


「あぁ、さっき電話した柏田原(かいだばら)です。もう着きそうなんですが、どこから入れば良かったでしょうか?」


『裏側に駐車場がありますので、そちらからお願いします』


「了解です。では、裏の方へ回らせていただきます」


 そうタクが電話口に言うと、チラッとバックミラーで後ろを見て話しだす。


「もうすぐ着くぞ、恵介。ここの店とは初めての取引やから、粗相(そそう)のないようにな」


「はい、わかりやした。──紗綾、さっきみたいに泣くなよ。みっともないから」


 紗綾は口をつぐんだまま、沈んだ面持ちで目を閉じた。そんな紗綾に恵介が追い討ちをかける。


「おまえ! 聞いてるんか!?」


 語尾を強める恵介。すでに恵介の声音がトラウマになっていた紗綾は、口を一文字に結び、目をぎゅっと力一杯閉じた。おまけに両手で耳もふさぎだす。


「おいおい恵介、また泣かすなよ。大事な商品やねんから。これ以上、泣かせたら目が腫れてしまうやろ。(たこ)ー、()うてくれへんようになったらどうするんや」


「あっ、そうすっね」

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