表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/312

5

 その日の晩、紗綾はWi-Fiが繋がる近くのファーストフード店でSサイズのポテトだけを注文しスマホを充電していた。というのも、ついさっき紗綾の携帯が止まってしまったからだ。


 家に帰っても電気が止まっており真っ暗の状態。冷蔵庫のものは、すでに腐っている。それに、今現在、命綱のようなスマホのバッテリーも14%と表示され緊急省エネモードに切り替わったのだから、どうしようもない。


 それのみか、紗綾が家に帰らない、いや帰れない事情が他にもあった。元彼氏恵介が待ち伏せしている可能性があったからだ。


 あれからも恵介は紗綾のスマホにしつこく電話してきた。おそらく、つい今しがた「お客様の都合により……」というアナウンスが流れているのを耳にしたはず。


 その頃、恵介は紗綾の予想通り急いで紗綾のマンションに行くが留守だと知り、仕方なく紗綾の帰りを待つことにしていたのだ。


 紗綾は、自分勝手で粘着質な恵介のその行動を容易に予測できた。おそらく、新しく勤めだした会社の重役の娘もしつこく口説き落としたのだろう。


 だが今となっては、高額な当たりくじを頂いたのだから、結婚式には祝福のお洒落な電報と花束を送ってあげても良いかもしれない。そう思えるほど心に余裕ができたのだ。「金持ち喧嘩せず」とは、まさにこの境地だろう。


 その他にも、紗綾には色々と事情があった。父が亡くなってからというものパチンコ狂いの母とはあまり馬が合わなくなっていた。もしも母に宝くじが当たったことを言おうものなら、身を持ち崩しかねない。ただでさえ、男にだらしなく、おまけにギャンブル狂いなのだから、到底言えるものではなかった。それに、恵介とのことを色々と詮索されるのも面倒な話だ。今更ながら会わせなければよかったと。だから、どれだけ窮地に陥ろうが実家には帰りたくはなかった。


 そんなこんなで、今はファーストフード店が一番くつろげる空間だった。それに色々と調べたかった。高額当選者は一家離散や破産している人が約7割をしめると。確か、コンビニの陳列棚に並べてあった週刊誌の見出しで見たことがある。なぜかは大体は推測できる。が、そこに至るまでの体験談とか諸々(もろもろ)をもっと掘り下げて調べてみたかった。それだけではなく、50億を手にした後の税金や保険料なども知りたかった。


 さらにさらに、今一番したかったことが紗綾にはあった。それは、おもいっきり夢を()せたかったのだ。例えば、高級車やブランド物のバッグに財布、高級腕時計、お洒落な服に宝石、アクセサリー、自分を磨くためのエステ三昧にマッサージ、ヘッドスパ、プチ整形もしたかった。思い立ったら温泉旅行や海外旅行、語学留学なんかもしてみたい。毎日、贅沢なごちそうも。高級ホテルのスイートルームを自宅代わりにするのも悪くない。いや、ホテルを丸ごと購入してもいいかも…。あっそうだ、乗馬も一度してみたかったんだ。


 ああ~、こりゃ超セレブだわ~。


 あれこれ欲しいものや、やりたいことが、次から次へと頭に浮かび尽きることがなかった。

お読みいただき、ありがとうございます。 少しでも面白いと思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします。 評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ