ブタ野郎とゲス野郎の狭間
「ありがとうございます。シャワーを浴びさ…」
風呂から出てきた紗綾は、意に反して恵介に礼を言うが、テーブルの上に置かれたものを見て、急に言葉を詰まらせた。
「おまえ、腹へってんねんやろ? それと、これ沈痛消炎剤が入ってる湿布な」
テーブルの上には、缶に入ったスープとヨーグルト、サンドイッチや菓子パン、紙パックに入ったカフェオーレ、それに湿布薬が置かれていた。
「……」
「急に胃にものを入れたら身体に悪いから、先にヨーグルトから食べたらええわ」
なぜか恵介が一瞬だけだが仏のように見えた。が、惠介の行動を素直に呑み込めず、紗綾はあいまいに首をかしげた。
(どうして、こいつがこんなことするの? 相手を気づかうなんてこと下心がない限りしたことがないのに……そうかっ! またなんか企んでるな。こいつがなんの見返りもなしに、人に優しくするはずがないし。──うぅ~でも、スープとサンドイッチは喉から手がでるほど魅力的)
「紗綾、こっちに座って食べろよ。湿布も俺が貼ってやるから」
「はい。ありがとうございます。では、お言葉に甘えさせていただきます」
紗綾が恵介の向かい側に座り、スプーンに手を伸ばした。すると、恵介がヨーグルトをさっと引き離した。
(やっぱり…)
「紗綾、悪いけど食べる前に先にこれを書いてくれるか?」
お読みいただき、ありがとうございます。 少しでも面白いと思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします。 評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。




