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(八雲設備の代表だった八雲善三! どうしてこんなとこに!)


 かつて自分が陥れ、後に尾崎らに任せ完膚なきまでにやっつけたと思っていた八雲善三が突如、目の前に現れたものだから、菅沼は呼吸をするのを忘れるほどおののいた。


「ヒィー」と声を漏らし咄嗟に手で顔を覆った。そしてすぐさま車の後ろに隠れた。それを見ていた若い作業員がまたしてもがなりたてた。


「おい、オッサン、なにやっとんねん! はよせな日が暮れてまうやろーが!! ほんま、お前はまったく役に立たんやっちゃの! 仕事せぇーへんのんやったら、この場所に置いて帰るぞ!」


 それを聞いた善三は、鼻で一笑してから菅沼が聞こえるような声音でつぶやいた。


「ふっ、お前の地獄はこれからや。まあ、せいぜい頑張れや。ほなな、さいなら」


 人を呪わば穴二つ。人に害を成すと、相手にわからずにやったつもりであっても、同じ仕打ちにあうことを覚悟すべきという戒め。


 言うまでもなく、あれから菅沼の会社は倒産し家も職も失った。挙げ句の果てには家族とも離散。そのうえ、闇の業者である藤木に追われるはめになっていたが、菅沼の親が持っていた家を売ることで許してもらえたようだ。だがしかし、直接、藤木に依頼した尾崎はそうはいかなかった。彼も菅沼と同様、家族とも別れ藤木に支払う代金にあてるため家を売りはらった。だがそれだけでは足らず、とうとう藤木に多額の保険をかけられ数ヵ月後、交通事故であえなくこの世を去ったようだ。


 一方、藤木はというと、別の依頼者との揉め事が発生し、その依頼者が今度は力のあるヤクザに依頼する。


 揉めに揉めたこの出来事は、最終的には藤木が射殺されることに。翌日、身代わりの犯人が出頭し幕を閉じた。

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