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皆がお祭り騒ぎの最中、アンナがまさるに話しかけた。
「まさる、今日も車で来たんでしょ?」
「うん、そう車で来た」
「それじゃあ、紗綾ちゃんを銀行まで連れて行ってあげて。それで、当たりくじを貸金庫に預けさせて。無くしたり盗られたりしたらそれこそ大変だから。私もボディーガードで一緒についていくわ」
「うんうん、それがいいね」
「そうでしょう、でも費用はまさるが立て替えてあげてよ」
「うんうん、そんなことぐらいはお安いご用や」
二人がそんな会話をしていたとき、通路にあるエレベーターから「ポン、ピン」というちょっと高めの到着音が鳴った。即座に扉が開く。
皆の視線が集まったエレベーターには、ぎっしり詰まった複数の人間が乗っていた。かごの中からは、ビシッと高級スーツに身を纏った紳士風の男達がずかずかと降りてくる。よく見ると、その中におよねの姿も。
何事かと皆が男達を凝視する。と、開口一番でおよねが梅干しのような口を動かした。
「アンナ、まさる、その心配は無用じゃ」
さっきの話を聞いてたかのような口ぶり。アンナとまさるは目を丸くしつつおよねに近寄った。
「えっ!? おかあさん、いらしたの?」
「あぁ、それにしても、ええ年こいた大人達がこんなに浮かれおって」
およねがいつものごとく険しい顔をみせながら、しゃがれた声でつぶやいた。
「それで、この人達は?」
「………」
その問いには答えずにアンナの顔をギョロっと一瞥だけするおよね。今度は皆の視線がおよねの方へと一斉に集まる。どうしておよねがこの男達を連れて来たのだろうと、不思議そうに固唾を飲んだ。そんな皆の疑問を無視するかのようにおよねが紗綾の前にたたずんだ。
紗綾もなんだろうと内心は緊張しだしている。だが、そんな張りつめた空気を一転さすかのように、およねは珍しく頬を緩ませた。
「紗綾、この度はおめでとうさん」
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